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シュート3本で勝てるレアル・マドリードの強さ。リバプールを封じた守護神は圧巻、影の立役者は…【欧州CL決勝分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

リバプールを苦しめ続けた男

ティボー・クルトワ
【写真:Getty Images】



 長い時間苦しみながらも最後は勝利を収めることに成功したマドリーだが、この試合を振り返る上でGKティボー・クルトワの名前を出さないわけにはいかないだろう。恐らくこの男がいなければ、マドリーではなくリバプールがビッグイヤーを掲げていたはずだ。

 今季何度もチームを救ってきたクルトワには間違いなく神が宿っていた。まずは16分、サラーのシュートを片手1本でセーブ。21分にはサディオ・マネのボックス内からの強烈なシュートをこれまた片手1本で防いだ。

 64分には右サイドからカットインしたサラーにコース、威力ともに完璧なシュートを放たれるも、クルトワはダイナミックな横っ飛びから右手1本でこれをセーブ。69分にはジョタが頭で折り返したボールにサラーが反応しシュートを放たれたが、今度は左足でこれを防いでいる。

 圧巻だったのは82分だ。ファビーニョのロングパスを受けボックス内に侵入したサラーに至近距離でシュートを放たれたが、クルトワは驚異的な反応で右手を出し、ボールを外へ弾き出したのである。その直後、アラバが思いっきりよくクルトワに抱きついたことからも分かる通り、まさに絶体絶命のピンチを救う超ミラクルセーブだった。

 リバプールの強力な攻撃陣の前に立ちはだかり続けたクルトワは、決勝戦のプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選出。データサイト『Opta』によると、この日のクルトワは2003/04シーズン以降のCL決勝において最多となる9個ものセーブを記録していたようだ。どんなに内容で負けようとも、クルトワで守り、ベンゼマやヴィニシウスが点を取り、最後は勝つ。結局は優れたGKと優れたFWがいれば、強いのだ。それをマドリーは、CLという舞台で証明したと言える。

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