悩ましい中盤の組み合わせ
そしてスペイン代表が苦戦したもう一つの理由は、中盤の組み合わせだ。
この日の中盤3枚はアンカーにロドリ、インサイドハーフにコケとガビだった。3選手とも技術力は抜群で、当然ながらワールドクラスの存在である。しかしサッカーとは面白いもので、実力のある選手を揃えても、組み合わせ次第では機能しなくなることがある。それがこの日のスペイン代表だった。
ロドリは攻撃時かなり下がった位置でプレーしており、最終ラインに吸収されることも目立った。そしてコケはそのロドリが空けた位置へ下がってくる。
ガビも当初はCB脇まで下りてきていたが、途中からほぼ下りなくなった。指示なのか自らの判断なのかは定かではないが、相手のサイドハーフとボランチの間にポジショニングし、前を向ける状態を探っていた。
つまり、この中盤3枚ではライン間を取れる選手がガビだけになってしまうのである。ロドリもコケもボールを持ち、動かすプレーに長けているがゆえに、相手の人数を揃えたブロックを前にすると後ろに比重をかけてしまう。そして彼らは効果的なプレーをあまり発揮できず、ただ回しているだけの状態を作り出してしまったのだ。
上記のことを踏まえると、ロドリをアンカーに置くならば、やはりガビだけでなく、ペドリのような存在もインサイドハーフに必要になってくるだろう。コケのようなタイプをインサイドハーフに置くならば、アンカーはロドリではなく、1人でも効果的かつ意外性のあるプレーも十分に発揮できるセルヒオ・ブスケッツを置くことで、機能するはずだ。
もちろんポルトガル代表戦からメンバーを大幅に入れ替えた難しさはあっただろう。そもそも守備の堅いチェコ代表を崩すのはどのチームにとっても容易なことではない。それでも、やはりポゼッションの生命線とも言える中盤の組み合わせは、今後スペイン代表にとって重要なテーマになることは確かだろう。
(文:小澤祐作)
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