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「新しいクラブが羨ましい」。板倉滉がシャルケから受けた最高級の評価。厳しいスタートからの大逆転【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

監督交代後もその立場は…



 日本の若きDFは、ドイツの老舗誌『キッカー』が発表したブンデスリーガ2部シーズン前半戦の選手ランキングで、センターバック部門の1位に選出されたのである。「エレガントな動き、広い視野を示しながら本職の守備では容赦なし。イタクラはシャルケの3バックに安定感を与えたのと同時に、ビルドアップでも目立った」と評価されただけでなく、『キッカー』編集部の過半数に選ばれるなど、文句なしの1位だったことも紹介されていた。

 その板倉はシーズン後半戦も変わらずレギュラーとしてプレー。アグレッシブなディフェンスと質の高いビルドアップを武器に、最終ラインに安定感をもたらし続けていた。

 クラブは3月5月に行われた第25節ハンザ・ロストック戦(3-4で敗戦)をもってグラモツィス監督を解任。現役時代にシャルケでプレーし、2008年と2009年には暫定監督として同クラブを指揮した経験も持つマイク・ビュースケンスを新指揮官に迎えて新たなスタートを切った。

 そうした中でも板倉の立場は変わらなかった。むしろ、ビュースケンス監督の下でさらに評価を高めた印象を受ける。グラモツィス監督の下では3バックの一角として奮闘していたが、4バックを採用したビュースケンス監督の下ではCBだけでなくボランチでも起用され、そこでも安定感あるプレーを披露と高いユーティリティー性を発揮していたのだ。

 日本代表の活動にも参加しながら、大きな怪我をすることがなかった板倉は、最終的にシャルケ加入後すべての公式戦でプレー。リーグ戦ではDFながら4得点を記録し、優勝と来季のブンデスリーガ昇格に大きく貢献することになった。

 ドイツ誌『キッカー』が発表した2021/22シーズンのブンデスリーガ2部の選手ランキングで、板倉はCB部門の2位に輝いている。冬とは違い、1位の座はブレーメンのマルコ・フリードルに譲ってしまったが、同誌は「その差はわずかだった」と評している。それだけ、板倉が残したインパクトは大きかったのだ。

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