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「新しいクラブが羨ましい」。板倉滉がシャルケから受けた最高級の評価。厳しいスタートからの大逆転【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

板倉を獲得する次のクラブが「羨ましい」

板倉滉
【写真:Getty Images】



 しかし、初のドイツリーグ挑戦で日本にポジティブなニュースを届け続けていた板倉だったが、残念ながら1年でのシャルケ退団が確定してしまった。もちろんパフォーマンスは申し分なかったが、金銭面に問題を抱えるクラブが500万ユーロ(約6億円)とされる買い取りオプションを行使できなかったことが、原因だった。

 シーズン中に『ビルト』のインタビューに対し「長期的にシャルケでプレーしたい」と話していた板倉にとっては、残念な結果になったと言わざるを得ない。しかし、より大きなダメージを受けるのは間違いなくクラブである。ブンデスリーガ2部において2番目に優れたCBを、わずか1年で手放すことになってしまったのだから。

「彼の退団は我々にとって信じられないほど痛い。クラブにとって本当に必要な選手だった。彼に退団を告げるとき、私はビデオ電話を通じて話さなければならなかった。とても辛いよ。この1年でクラブと彼の間に生まれた絆は大きく、お互いに親愛を抱いていた。選手たちもファンも彼の退団を惜しんでいる。彼も好きでいてくれたと思う。だからお互い感情的になることを抑えられなかった」(シュレーダーSD)

「実は、まだ信じられないよ。非常に優れた選手というだけでなく、素晴らしいキャラクターと信じられないほど好感の持てる人物を失うのだからね。彼の新しいクラブが羨ましい。彼と一緒に多くの楽しみを得ることになるだろう」(ビュースケンス監督)

 上記のコメントだけでも、板倉がシャルケにとってどれほど大きな存在だったかわかるだろう。わずか1年でこれほどの影響を与えたのは、素晴らしいという一言に尽きる。まさに大成功のシーズンだ。内田に続き、シャルケを愛する人々の日本人への評価はさらに高まったのではないだろうか。

 充実したシーズンを送り、肉体的にも精神的にもレベルアップした板倉は、来季のボルシア・メンヒェングラードバッハ入りが有力視されている。ブンデスリーガ5回の優勝を誇るドイツの名門でも活躍できれば、その名はもっと世界に広まっていくことになるだろう。アーセナルの冨安健洋もそうだが、板倉の成長も日本代表の未来を明るく照らすことになりそうだ。

(文:小澤祐作)


【了】

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