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「悪いプレーを思い出せない」冨安健洋はアーセナルを変えた。即戦力として示した実力、唯一残念だったのは?【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

唯一悔やまれるのは…

冨安健洋
【写真:Getty Images】



 しかし、周囲からの評価は高いが、選手本人にとっては決して満足できないシーズンだったのかもしれない。

 その理由は、先にも少し触れているが、あまりにも怪我が多かったからだ。

 冨安にとって、この1年はプロ生活で最も過酷だったと言っていいだろう。

 ボローニャで負傷離脱しながらもフルシーズン戦った冨安は、その後U-24日本代表の一員として東京五輪に参加。練習中に左足を痛めたことで他の主力選手と比較するとプレー時間は短かったが、それでもハードな3試合をこなした。

 その後イタリアに戻り、第2節アタランタ戦では9分間ではあったもののピッチに立った。そこからイングランドに飛んでアーセナルの一員となり、一息もつけぬまま即戦力としてアルテタ監督に起用された。そして日本代表の活動にも参加している。十分な休養を取れていなかったのは明らかだ。

 そして、強度の高いプレミアリーグで戦い続けていた冨安は、12月18日に行われた第18節リーズ戦でアーセナル加入後初の負傷交代を強いられることに。その後2試合を欠場し、1月1日に行われた第21節マンチェスター・シティ戦では足の痛みが癒えぬままフル出場した。

 致命的となったのが1月20日に行われたカラバオ・カップ準決勝2ndレグ、リバプール戦だった。この試合で強行出場したことで、怪我が悪化。結果、長期離脱を強いられることになったのである。復帰を急がせたアルテタ監督には、チーム事情があったとはいえ、多くの批判が集まっていた。

 復帰を果たしたのが4月23日のマンチェスター・ユナイテッド戦で、その後しばらくはスタメン出場を続けた。しかし第37節ニューカッスル戦で再離脱。そのまま一足先にシーズンを終えることになった。

 シーズンMVPも狙えるだけの内容だっただけに、戦線離脱の頻度が多かったのはやはり残念で、今シーズンにおいて唯一悔やまれる結果になったといっていい。だからこそ、来季はフル稼働をしてほしいところである。多くの人が、そう願っているはずだ。

(文:小澤祐作)


【了】

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