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バルセロナに垣間見えた“戸惑い”。開幕戦不発の原因は? レバンドフスキの起用が持つ“博打”の側面【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

バルセロナが抱える問題



 簡単に言ってしまうと、ブスケッツ、ガビ、ペドリらバルセロナのDNAを知り尽くす既存のメンバーと、新参者たちの連係の構築が不十分、ということになる。もちろん“バルセロナのサッカー”は、世界中のフットボールに関わる誰もが知っているといっても過言ではないスタイルなので、クリステンセン、ハフィーニャ、レバンドフスキ、ケシエ、さらにはまだ選手登録の済んでいないジュール・クンデの誰もが、その理解に戸惑いはないだろう。

 それでもフットボールというスポーツでは、升目の無い広いピッチ上で11人という少なくない人数が、周囲との繋がりを意識しながらポジションを取ってプレーするという性質を持つ以上、新加入の選手たちが既存のチームに溶け込むには、幾度かの練習と試合をこなしていく必要はあるだろう。

 ざっくり言うと、新戦力たちはスタイルの理解に戸惑いはなくとも、ピッチ上での動き方には戸惑いがあるという状態で、よって既存のメンバーと噛み合わず、チーム全体が機能し切れていない、というのが開幕戦のバルセロナだった。もちろんラージョは簡単に崩せるチームではないが、22/23シーズンの船出では、それ以前に連係不足が目立ったと言えるだろう。

 このように溶け込み切れていない新加入の選手たちの中でも、特にレバンドフスキは前線にいても思うようにボールが来ず、戸惑いを隠せないようだった。要するに、トーマス・ミュラーやヨシュア・キミッヒといったバイエルンのメンバーからは欲しいタイミングで出てきたボールが、ここカンプ・ノウでは出てこない、ということだ。

 問題は、そのボールが“まだ出てこない”のか“ずっと出てこない”のか、なのだが、もちろん時間が経てばすんなり解決される可能性はある。毎日のトレーニングと週末、週中の試合というサイクルの中で、既存のメンバーとお互いのプレー・スタイルについて相互理解が進めば、徐々にレバンドフスキが欲しいタイミングでボールが出てくるようになるだろう。

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