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ドイツ代表は現体制で最悪…。サッカー日本代表戦2か月前、深刻な不調の原因とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

今のドイツ代表に足りないものとは?



 不調のニャブリを下げて後半開始からティロ・ケーラーを投入し、3バックへと変更してボールを支配しようとした采配は間違いなくチームを上向きにさせた。

 それはスタッツにも表れており、ポゼッション率は67%から78%へ、シュート数も3本から7本へと大幅に改善されている。それでも得点を奪えなかったのは、相手陣内に押し込んだ状況で必要となってくる「典型的なストライカー」がいないことが要因の一つだろう。

 かつてのドイツ代表にはミロスラフ・クローゼが最前線に君臨し、フリックがかつて率いたバイエルンにはロベルト・レヴァンドフスキという絶対的なストライカーがいた。しかし、今のドイツ代表、そしてブンデスリーガを見渡しても彼らのようにボックス内で得点を量産できるドイツ人はいない。

 この試合で最前線に入ったヴェルナーは相手の背後にスペースがあれば輝くが、後半のように背後のスペースが消されてしまっては持ち味を発揮できない。

 ネーションズリーグでドイツ、イタリア、イングランドと同じグループで首位を走るハンガリー代表の強さは伊達ではなく、5-4-1の5-4のブロックで縦にも横にも早くスライドをして相手にスペースを与えない守備はこの試合でも際立っていた。こうした堅守の相手にはやはり前述したようなボックス内でクロスに合わせることができるストライカーが必要だということを再認識させられた。

 いないタイプの選手のこと言っても仕方がないため、現状のメンバーの良さをどのように生かせるかを考えると、今のドイツ代表は前線にスピードがある選手が多くカウンターが強みとなる。6月のイタリア戦では相手を自陣に引き込んでからの疑似カウンターが見事に決まっていたが、今節に関しては低調な前半にセットプレーで先制されたことが原因で、点を奪いに相手が前に出てこなかった。こうしたチーム状況においては「先制点」が勝敗の鍵を握るだろう。

 フリック監督は「ワールドカップで負けるより、今負けたほうがいい」と次に向けて切り替えているが、残りの限られた時間でどれだけチームを立て直すことができるだろうか。その答えはちょうど2ヶ月後の11月23日に行われるワールドカップの初戦、”日本代表”との一戦で明らかになる。

(文:安洋一郎)

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