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【英国人の視点】上品な東山MFと岡山学芸館の明るい未来。高校サッカー選手権にふさわしいドラマ

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

全国高校サッカー選手権大会 最新ニュース

接戦が多く、PK戦にもつれ込む熱戦が多かった第101回全国高校サッカー選手権は、岡山学芸館の初優勝で幕を閉じた。2022年度の高校サッカーを締めくくるこの大会を、英国出身のジャーナリスト、ショーン・キャロル氏はどのように見たのか。(取材・文:ショーン・キャロル)


決勝戦にふさわしい組合せ


【写真:Getty Images】

 今年も全国高校サッカー選手権が素晴らしい新年の幕開けとなった。国立競技場で行われた準決勝と決勝の3試合は素晴らしいサッカーで、エンターテインメント性を高めるいくつかのミスがあったが、2023年をスタートさせるにふさわしいドラマがあった。

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 岡山学芸館は1月7日に行なわれた準決勝で自分たちの資質を示した。優勝候補の神村学園との対戦で2度のビハインドから3-3の同点に持ち込み、その後12ヤードの距離から冷静に決めて、PK戦を4-1で勝ち進んだ。

 東山も同日行われた大津との準決勝が1-1の同点となったが、PKをすべて成功させて4-2で勝利した。自分たちか岡山か、いずれにしても初優勝校が生まれることになった。

 スター選手とその経歴を見れば、神村学園と大津が決勝戦にふさわしいと見る向きもあったが、90分を通したバランスでは、岡山学芸館と東山はファイナリストに値するものだった。どちらも組織化され、結束力のあるチームだったのに対し、神村学園と大津は個々の能力こそ高かったが、全体的なまとまりに欠けていた。特に神村学園の攻撃と守備のバランスを見れば明らかである。

 ボルシア・メンヘングラッドバッハに移籍する福田師王は、巧みなホールドアップとゴール前での鋭い勘を発揮し、ストライカーとして前線でその能力をフルに発揮した。準決勝ではエリアの端から金城蓮央のシュートを岡山学芸館GK平塚仁が弾いたこぼれ球を押し込んだ。田口裕真の印象的なゴールで岡山学芸館が早い時間に先制していたが、福田のゴールで1-1の同点とした。

 福田は他にも何度かゴールに迫ったが、結局、神村学園は2点目を決めた3分後、3点目を決めた4分後に失点してしまう。さらに3本あったPKのうち2本を失敗して、最後のハードルで敗退することになった。

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