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三笘薫を輝かせるブライトンの約束事とは?リバプール戦が「独壇場」になった理由【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ブライトンの長所とリバプールの短所が合致


 今季開幕からイマイチ調子の上がり切らないリバプールは、以前のようなハイプレスがハマらないという課題に直面している。それはサディオ・マネの退団やロベルト・フィルミーノの不在、そして最前線の選手が突破されたあともジョルジニオ・ワイナルドゥムのような運動量と強度を兼ね備える選手がいないことが大きく影響している。

 ハイプレスがハマらない中でハイラインは継続しているため、相手に中盤を突破されると、背後の広大なスペースを上手く活用されて一気にピンチを招くことが多い。かつてはフィルジル・ファン・ダイクが背後のスペースを個人の能力で埋めてきたが、今のリバプールには独力で相手の攻撃を止められるようなDFはいない。

 このリバプールの弱点をブライトンは上手くついた。最終ラインからのビルドアップの際に、ボランチのモイセス・カイセドとアレクシス・マック・アリスター、もしくは前線から下がってきたアダム・ララーナとエバン・ファーガソンに素早く縦パスを当て、彼らがダイレクトでボールをはたく。ダイレクトのパス交換をすることで、相手に寄せられる時間を作らせない。

 中央に相手の目線を集めたところでサイドバックやウイングにパスを展開する。この時、彼らは相手が中央に絞っていることもあって、フリーで前を向いた状況でボールを受けることができる。三笘薫とソリー・マーチの両ウイングはそこから個人で仕掛ける、もしくは中央のマック・アリスターやララーナらとダイレクトのコンビネーションで最後の局面を打開しにかかる。

 このダイレクトプレーを活用したビルドアップを、プレスに課題を残すリバプールは全く阻害することができなかった。そして、この防戦一方の展開を最後まで修正できなかったのが大敗の理由である。

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