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悲惨なチェルシーに気が緩んだアーセナル。にわかに信じがたいアルテタ監督の言葉【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

アーセナルがチェルシーに勝てた理由



 なぜアーセナルが勝てたのか。理由はシンプルにチェルシーが弱かったからだ。

 アルテタは「チームはベストの状態に戻っている」と語っていたが、現在のアウェイチームの悲惨な状況を考えれば、あまり参考にはならないだろう。

 リース・ジェームズやメイソン・マウントら怪我人続出の影響もあって固まらないスタメン、チームとしての戦い方が一切見えず、攻守両面で選手個人の能力に依存しているランパード暫定監督の引き出しの少なさ、チームとしてのまとまりのなさ、など…。今のチェルシーは本当に深刻だ。

 アーセナルの得点シーンではチェルシーのダメなところが露呈している。

 この試合でチェルシーは保持時が4-3-3、守備時は4-4-2のブロックで戦っていた。両WGが一列下がって、左のインサイドハーフのエンゴロ・カンテが最前線に出て行って守備を行うというこの守備時の布陣が完全に裏目に出た。仮に最終ラインを含めた連動した強度の高いプレスだった場合は守備として成立した可能性もあるが、今のチェルシーではそれができない。

 各々がなんとなく相手選手に近づくだけで、相手のビルドアップを阻害することなく、アーセナルの選手たちは次々とチェルシーの選手たちの間でボールを受けて危険なエリアに進入。そして先制点と2得点目の場面では、カンテが前線に上がったことで生まれた最終ラインと中盤の間のスペースにグラニト・ジャカがグラウンダーのクロスを通して、マルティン・ウーデゴールが仕留めた。

 ビルドアップやクロス、フィニッシュの精度はアーセナルの選手たちを称賛するべきだが、チェルシーの選手たちが彼らにスペースを与え過ぎたことで生まれたものであることには変わりない。

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