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遠藤航には何が足りなかった? 消えた持ち味の守備とプレミアリーグの洗礼【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

攻撃面で不足していたのは…


 攻撃面で物足りなかったのが、プレス耐性の低さと判断の遅さからくる展開力不足だ。

 ニューカッスルは中盤のジョエリントン、トナーリ、ギマランイスに加えて、両WGのミゲル・アルミロンとアンソニー・ゴードンも全速力でプレスバックして守備を行う。このプレミアリーグ屈指の守備強度を前に、遠藤は前進してボールを繋ぐことに苦戦した。

 リバプールのインサイドハーフでプレーするアレクシス・マック・アリスターやドミニク・ソボスライには、相手に強く寄せられてもターンで剥がして前進という技術があるが、遠藤にそこまでの足元の技術はない。そのためプレスを剥がせずに、ボールが入った瞬間にジョエリントンに潰されるというシーンが目立った。

 遠藤にとって不運だったのが、自分たちが数的不利だったこと、そしてジョエリントンを筆頭に接触プレーでカードが出なかったことだ。ニューカッスルはこの試合を通じて16のファウルの判定を取られているが、結局カードが出たのは51分のキーラン・トリッピアーのみ。彼らはイエローカードが出されるまで、相手を容赦なく削りに来る。仮に主審がカードを出していれば、もう少し遠藤もプレーしやすかったかもしれない。

 そして周囲との連係不足と戦術理解力不足なのか、前を向いた状況でボールを受けても球離れが悪く、結果として攻撃が停滞してしまうという場面も多かった。

 これらの要素が重なって、遠藤はボールを受けても無難なプレーを連発し、後半になると味方選手からのパスも減って、さらに存在感がなくなるという形になった。

 「チームに加入して間もない」「プレミアリーグ初挑戦」など、遠藤を擁護できる点は沢山ある。前任のファビーニョでさえも、プレミアリーグ初先発は10月末だった。しかし、これらはピッチに立てば関係ない。指揮官が送り出した以上、求められる役割を遂行する必要がある。

 初スタメンで「プレミアリーグの洗礼」を受ける形となった遠藤だが、スタメン定着には今節に感じた“物足りない“部分をいち早く改善する必要があるだろう。ユルゲン・クロップ監督が今節のプレーを受けて、次節以降の起用法をどのようにするのか注目だ。

(文:安洋一郎)

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