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なぜ遠藤航は起用されなかったのか? リバプールが優先した「強さ」と「素早さ」【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

遠藤航がスタメンに選ばれなかった理由



 先発予想の遠藤の代わりにスタメンに名を連ねたのが、ハーヴェイ・エリオットだった。

 リバプールのユルゲン・クロップ監督はこの20歳の若武者を今季のプレミアリーグで一度も先発起用していなかったが、ブライトンとの上位対決でスタメンに抜擢した。

 その理由を指揮官は試合前の『Sky Sports』のインタビューで「自分たちは球際や、1対1の状況でも強くなければならない。ブライトンのマンマークには、球際でのフィジカルの強さや素早さが要求される。彼(エリオット)は他の選手と同じくその両方ができる。それが理由だ」と明かした。

 この言葉の裏を返せば、遠藤にはこれらの能力がスタメンに抜擢された中盤の3選手と比較すると物足りないということになる。

 実際にブライトン戦でのリバプールは、相手のマンマーク戦術を打破するべく、いつも以上にハイリスクな形をとっていた。GKのアリソンをフィールドプレイヤーのように普段より高い位置やサイドに開いた位置でビルドアップに参加させ、トレント・アレクサンダー=アーノルドの偽SBも有効活用しながら、マークのズレを作ろうとしていた。

 相手のプレスを突破すれば一気にチャンスとなるが、先制点を奪われるシーンに表れたように、自陣でボールを奪われると一気にピンチとなる。よりボールを失わない可能性が高い布陣を組むために、クロップ監督はボール保持でのプレス耐性が高い3選手をスタメンに抜擢したと考えられる。

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