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アーセナル、劇的ゴールの伏線は前半に。堅守のブレントフォードに生まれた隙【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

劇的ゴールが生まれた伏線


 左サイドはどうなのかというと、マルティネッリとオレクサンドル・ジンチェンコを中心に積極的にアーリークロスを上げていくが、逆サイドで合わせる選手がいない。ブレントフォードのセンターバック(クリストフェル・アイエル、イーサン・ピノック、ベン・ミー)は3人ともこの試合で空中戦勝率80%(4/5回勝利)を記録。5バックとなると単純にペナルティエリア内に相手ディフェンダーが多く、アーセナルが崩しきれずボールを回す時間が続いた。

 では、なぜアーセナルは終盤にゴールを奪うことができたのか。そのヒントとなるのが、オフサイドにより取り消されたレアンドロ・トロサールのゴールシーンだ。

 高い集中力と強度を維持してアーセナルを苦しめるブレントフォードのディフェンスには、構造上のウィークポイントが存在する。それが[5-3]ブロックの[3]の横に生まれるスペースだ。

 アーセナルが中盤の選手間の距離を短くすればブレントフォードの中盤[3]はより中央で密集。ブレントフォードの中盤が中央に寄ろうと動き出した瞬間にサイド(ペナルティエリア角)にスペースが生まれる。そのタイミングであればサイドから攻撃の起点を作ることが可能だ。

 オフサイドにより取り消されてしまったものの、42分のトロサールのゴールシーンは、このウィークポイントを上手く突いて生まれたチャンスだ。ウーデゴールの動きに釣られて、ブレントフォードの[3]はゴールに対して横並びではなく縦並びのような形で中央に集まり、サイドでサカがフリーに。スペースが与えられたサカはガブリエウ・ジェズス、そしてトロサールのチャンスを正確なクロスで演出することができた。

 この上手くいった攻撃の形が、試合の終盤で再現される。

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