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【遠藤航・分析コラム】「次なるフェーズへ」リバプールでも際立つ「予測力」。“世界最高峰のMF”としての課題は…

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

“世界最高峰”の遠藤航は「次なるフェーズへ」


 それが状況に応じての守備の判断だ。この試合で遠藤は67分にイエローカードを貰ったが、その後、72分と90+1分にあわや2枚目のカードが出てもおかしくない危険な接触やファウルがあった。特に後者の場面では、退場しなかったのははっきり言ってラッキーだった。

 いずれのシーンもリードは3点差だ。仮に遠藤の寄せがあまくて失点をしたとしても、残り時間やそれまでの流れを見ても勝敗が変わることはないだろう。それよりも退場で次節欠場となった方がチームとしては痛く、何よりこの怪我人続出の状況では、欠場者を増やさないことを第一優先に考えるべきだろう。

 クロップ監督としてはカードを貰っている状況でも彼を残したのは信頼の表れと、ベンチの駒不足が影響しているのだろうが、危険なファウルを犯した瞬間はヒヤリとしたのではないだろうか。

 ただ、相手を狙った場所で潰せるようになったのは、加入当初と比較をすると成長した一面であることも忘れてはならない。プレミアリーグ初先発となった第3節ニューカッスル戦では、前に潰しに行ってかわされる場面が3つほどあった。この試合で遠藤はファウルすらさせてもらえず、相手選手の進行を阻止することができなかったのだ。

 その当時と比較をするとプレミアリーグの強度やスピードに慣れたことで、フィルターとして機能していることは間違い。ただ、その中でのリスクマネジメントも自分の中で行う必要があり、時には強度を維持することよりも優先しなければいけないことがある。

 遠藤の課題は自らの成長とともに次なるフェーズへと移っている。今月31歳の誕生日を迎えたばかりの日本代表MFは、世界最高峰の守備的MFへと成長するためにはまだ伸びしろを残している。

(文:安洋一郎)

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