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【遠藤航・分析コラム】なぜ世界最高峰の試合で輝いたのか? デ・ブライネを追いやったリバプールの準備

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

遠藤航に与えられた役割


 この試合で遠藤に与えられた役割は[4-3-3]のアンカーのポジションから、状況に応じてライン間に立つケビン・デ・ブライネや相手の両ボランチ、ジョン・ストーンズとロドリに対して強烈な圧力を掛けることで、自由を奪ってボールを奪うこと。そして素早くシンプルなパスを出してショートカウンターの起点となることだった。

 遠藤からするとタックルを仕掛ける相手選手は状況によって変わってくるが、チームのプレスが連動した上での得意な「前向きの守備」となるため、守備範囲はある程度限定されている。決まったエリアでボールを奪い切る能力に関しては、この日本代表MFより秀でている選手は早々いない。

 世界最高峰のMFであるデ・ブライネ相手にもプレーの選択肢を与えないほどの激しい寄せで自由を奪い、彼が得意としているドリブルでの持ち運びからのカウンターをほとんどさせなかった。これがどれだけ効果的だったのかはマンチェスター・シティの交代策に表れており、グアルディオラ監督は69分にベルギー代表MFを下げる決断を下している。

 代わりにジェレミー・ドクを投入し、遠藤がいる中央からの攻撃ではなく、サイドからドリブルで仕掛けさせる戦術的な変更を行った。

 ペップが嫌がったのも無理はない。実際に遠藤のマンチェスター・シティ戦でのデュエル勝率は約86%(7戦6勝)であり、昨季のプレミアリーグ王者は日本代表MFが君臨している中央を避けた攻撃へと形を変えた。

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