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【遠藤航・分析コラム】なぜ世界最高峰の試合で輝いたのか? デ・ブライネを追いやったリバプールの準備

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

なぜ遠藤航は世界最高峰の試合で輝けたのか


 ハイレベルだったこの試合で遠藤が輝けたのは、チームとして彼が得意なプレーに専念できるように整備されている影響が大きいだろう。

 試合やトレーニングを重ねるごとに、彼の得意なプレーと苦手なプレーを見極めた首脳陣のアプローチは素晴らしかった。現在はチームの構造として遠藤が活きる形を採用しており、彼のところをボールの奪いどころに設定した上で、逆算したプレスを前線からかけている。

 その結果、遠藤はボールホルダーに対して迷わず全速力で圧力を掛けることができており、多くの局面で相手に前を向かせない守備が可能となった。

 一方で、最終ラインから後ろ向きでボールを受けた際に奪われるケースが多かったビルドアップも遠藤のために整備されている。現在はこの試合での31分のシーンに象徴されるようにCBの間に降りてパス回しに参加することで、低い位置からカウンターを食らうリスクを最大限に減らした。

 そしてインサイドハーフには、どんな体勢でボールを受けても何とかしてくれるアレクシス・マック・アリスターとドミニク・ソボスライの両名がいるため、遠藤自身は難しいパスを選択しなくてもシンプルに味方選手に繋ぐことで攻撃の起点となる。

 苦手なプレーを減らし、得意なプレーに専念できるようにピッチ内での環境が変わったことで、遠藤自身も着実に成長を遂げてきた。逆にここまで存在感を放つのであれば、仮にいなくなってしまうと現在のリバプールのサッカーが成立しなくなる可能性もあるのではないか。そう思わせるほど、現在の遠藤はユルゲン・クロップ監督のチームの中心なのだ。

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