フットボールチャンネル

セリエA 2か月前

インテルとミランに激震…。ウルトラスの一斉逮捕はなぜ起きた。まるで映画のようなストーリーの全容【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

ほぼ全てのクラブが恐喝にさらされている

 警察に事情聴取を受けたインザーギは「クラブへの圧力があったとは知らなかった。私はクラブにもっとチケットが必要だと伝えた。もっと多くのサポーターがスタジアムに来て、チームを応援してほしかった」と述べている。フェルディコとも会話をしたが、脅迫や威圧的な口調は一切なかったと語った。傍受した内容によれば、要求されたチケットは実際に手配されている。

 クルバ・ノルドの幹部は、傍受された会話の中で、ニコロ・バレッラやハカン・チャルハノール、そして現在はPSGに所属のミラン・シュクリニアルにも連絡を取っていたことが判明。シュクリニアルについては、「彼は恐怖で震えていた」と話している。

 ミランでは、主将ダビデ・カラブリアも、これらの会話の詳細を報告するために召喚され、ルーカ・ルッチと話した事実を認め、その内容は「ミランの問題について話し合った」と説明した。

 サビアーノは、こうしたクラブとウルトラスの関係について、クラブが多くの場合、恐喝にさらされ、問題を見て見ぬふりをしている現実があり、クラブは、断固とした態度を取ることが難しい状況にあると指摘する。

 その理由は、「クラブはしばしばウルトラスの要求を飲まざるを得ない。試合を中断させることや罰金を科されること、順位を下げることは、組織とすれば簡単なことだ。例えば、スタジアムで人種差別的なコールをしたり、物を投げ込んだりすることだ」と詳述する。

 こういった脅しは、クラブとの“取引き”を容易なものとする。「ほぼ全てのビッグクラブ、多くの中小クラブも絶え間ない恐喝にさらされている」と続ける。クラブは、ほとんどの場合、ウルトラスの指示に従い、告発することは皆無だ。今回の事件のほとぼりが冷めた頃に、またこのようなウルトラスとの関係が取り沙汰される事件が繰り返されることになるだろう。

(文:佐藤徳和)

【関連記事】
セリエA時代の中田英寿も被害に…。欧州日本人選手を干した歴代監督6人
98年、中田英寿。激動の時代、ナカタはなぜ至高の活躍を見せ急速に引退へと向かったのか【セリエA日本人選手の記憶】
美しすぎて胸キュン!? 美女サッカー選手。まるでモデルな女子選手たち

【了】

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!