「ボールが外に流れたんで、ファーよりもニア上かなと思って蹴った。その選択は別に悪いとは思っていないんで、あそこで決める力を自チームに帰ってもっとつけたいです」
その後もスピードとアグレッシブさを出し続け、何度か得点機を作った。11分には左から中へ侵入した中村のクロスに鋭く反応。ゴール前へ飛び込んだが、一歩合わなかった。
そして19分には彼の真骨頂とも言える“鬼プレス”でDFからボールをカット。一気に裏のスペースを持ち上がったが、自身のドリブルのコントロールが乱れてしまい、決め切るには至らなかった。
「ああいうのは“大好物”だったんですけど、ボールが思ったより滑らなかった。でも僕のスタイル的にはああいう形が増えてくるので、あれを何回決められるかというところですね」と前田は神妙な面持ちで言う。
今季セルティックでゴールを量産しているだけに、決定力が飛躍的に向上したはずだったが、やはりクラブと代表はどこか感覚的に違うのだろう。
しかも、彼の場合は1トップで先発するのが2年半ぶり。「最終予選で活躍した上田や小川航基とは違ったストロングを発揮して存在感を示したい」といった力みもどこかにあったのかもしれない。
本人も「僕自身は思っていなくても、やっぱりそうなのかもしれない」と認めており、代表での不安定な立ち位置が得点を決め切るという部分に影響した可能性もありそうだ。