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コラム 2か月前

トゥヘル体制で何が変わった? イングランド代表の新指揮官が重視するポイントと柔軟な修正【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

最終ラインの選手に最も求める2つの能力

 トゥヘルは昨年10月に行われた就任発表会見にて、「私たちは試合の強度を高めなければいけない。相手チームのボックス内でのタッチ数を増やしたい。相手陣内でのボール奪取を増やしたい」と語っていた。

 新指揮官は満足していないだろうが、アルバニア戦とラトビア戦のどちらの試合でも相手陣地でプレーするということができていた。特に先制点が決まるまでは、2試合とも80%以上のポゼッション率を記録しており、強度の高さでは相手を圧倒していた。

 これは当然ながらFIFAランキングを大きく下回る相手との戦力差が最大の要因ではあるが、ボールを失った後のトランジションやコンパクトな守備陣形、最終ラインで起用した選手の特長も大きく影響している。

 その中でも最終ラインの人選は、総合的な能力が高いことを前提として「デュエル」の強さが、かなり重要視されているように感じる。2試合連続で先発出場をしたコンサとルイス=スケリーは、今季のプレミアリーグにおける地上戦勝率ランキングの上位2人だ。

 逆に3月の代表戦で一度も出番がなかったレヴィ・コルウィルとティノ・リブラメント、ジャレル・クアンサーは、今回招集されたDFの中でデュエル勝率が低い3選手だった。

 コルウィルに関しては、イングランド代表のレギュラー候補に推す声も多かったが、トゥヘルが求める前に出て相手FWを潰す強度の高い守備が得意とは言えない。所属するチェルシーでも相手FWに背負われて起点を作られることや反転されることも多く、ここが改善されない限りは代表で出場機会を得ることは難しいかもしれない。

 また「ピッチ内外で発言力を持つように」という言葉は、トゥヘルがチーム全体にも伝えているキーワードであり、昨夏に行われたユーロ2024決勝の後半におけるコミュニケーション不足を指摘していた。初招集ながら初戦で先発起用されたダン・バーンはリーダーシップを評価されており、彼のように最終ラインで指示を出せる選手が今後も重宝されるだろう。

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