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イングランド代表は3月の代表ウィーク期間中に北中米ワールドカップ(W杯)欧州予選を戦い、アルバニア代表に2-0、ラトビア代表に3-0の勝利を収めた。トーマス・トゥヘル新監督の初陣となったこの2試合で、すでに前体制からの変化と指揮官の選手選考の好みが見えてきている。(文:安洋一郎)
トーマス・トゥヘル体制は2連勝でスタート
【写真:Getty Images】
今年1月にイングランド代表監督に就任したトーマス・トゥヘルに与えられた目標はただ1つ。自国開催だった1966年大会以来となる2度目の“ワールドカップ優勝”だ。
前任のサー・ガレス・サウスゲート監督の下で同国代表は、ユーロ(欧州選手権)で2度の決勝進出を果たし、ワールドカップではベスト4とベスト8を経験。それまでの低迷ぶりを考えると躍進を遂げたと言えるが、タイトルに届かなかったのも事実である。
クラブレベルで数々のタイトル獲得した経験のあるトゥヘルに与えられた期間は、北中米ワールドカップ(W杯)までの18カ月。やや短いと思われるかもしれないが、短期政権に終わりがちな彼のこれまでの監督キャリアやドイツ代表でのハンジ・フリックの失敗を見ると妥当な契約期間だろう。
イングランド代表はトゥヘルに長期的なチームの成長を期待しているわけではない。そのフェーズは前政権までに済ませており、W杯優勝を見据えたラストピースとしての招聘である。すでにタレントが数多く揃う同国代表において大事なのは、来年の6月に向けてチームをピーキングできるかどうかになるだろう。
本大会を見据えた逆算が必要な中で、選手を大胆に入れ替えて戦う余裕はない。トゥヘルはラトビア代表の前の記者会見で、「選手に対する責任を感じている」ということを前提としつつ、選手起用において“クラブの監督に気を遣わない”、すなわちメンバーをある程度は固定して戦うことを示唆した。
まだ試行錯誤をしている段階ではあるが、初陣となった3月のW杯予選の2試合だけでも、ドイツ人指揮官が志向するフットボールと、替えの効かない中心選手の存在が見えてきている。