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コラム 8か月前

黄金時代の姿はどこへ…。古豪サンプドリアがいよいよマズい。混乱をきたすのは当然? 落ちるところまで落ちた理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

実は下部組織も女子チームもマズい状況に…

 サンプドリアは昨年夏に、23/24シーズンにセリエBで20得点をマークしたジェンナーロ・トゥティーノをコゼンツァから、同16ゴールのコーダをクレモネーゼから獲得。セリエA復帰を見据え、抜かりない補強が進められた。

 しかし、ここまで前者は5得点、後者は7得点にとどまり、期待通りの働きは見せていない。戦力的にも申し分ない陣容が整えられており、開幕当初の年俸総額はテクニカルスタッフを含め2500万ユーロ(約40億円)。これは首位を走り、すでに昇格を決めたサッスオーロ(3300万ユーロ=約52.8億円)に次いでリーグ2位の額だ。

 これだけの資金を投入しながらも、目標はセリエA昇格からセリエB残留へと移り変わった。ジェノヴァのメディア『Il Secolo XIX』は昨年12月に、チームのマネージメント面に大きな問題があったこと指摘している。

「会長のマッテオ・マンフレーディはスポーツディレクターの職務に口を出し、SDのリッカルド・アッカルディは監督の領域に踏み込み、ボードアドバイザーのアレッサンドロ・メッシーナはあらゆる領域に干渉している」

 危機にあるのはトップチームだけではない。問題はU-20や女子チームにも波及している。U-20は、プリマヴェーラ・ウノで19位と最下位から2番目の位置で、このままではドゥエに自動降格となる。女子チームは、セリエA女子で10位の最下位に沈む。今季は1勝しかできていないという目も当てられない惨状だが、幸いこのリーグに自動降格はなく、5位以下による残留プレーオフがある。そのため、すぐに降格という状況にはないが、3つのカテゴリーでチームが下位リーグに転落寸前の窮状に直面するほど、クラブ運営が深刻な事態にある。

 アッカルディSDとセンプリチが更迭され、後任体制のもとには、マンチーニのサポート役として長年ともに歩んできたテクニカルスタッフ陣が加わった。エヴァーニ新監督は就任会見で、「全員が一体となれば、この状況から抜け出せる。我々は200%の力を出す」と就任会見で覚悟を語った。結束力に優れたスタッフの加入は、チームを残留へと導く原動力となるはずだ。

 しかし、エヴァーニのキャリアを振り返ると、不安が拭えないのも事実だ。これまでの実績の多くはアンダー世代のイタリア代表での指導と、マンチーニ体制下でのアシスタント業。トップチームのクラブを率いた経験は、09/10シーズンにレガ・プロ・セコンド(当時の4部リーグ)に所属していたサン・マリノのみである。

 残された試合は「5」。かつてない重圧がクラブ全体にのしかかる中、この難局をチームはどう乗り越えるのか。

(文:佐藤徳和)

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