このとき、町野修斗はどう動くべきだったのか? 「BoS」的な最適解は…

【図4-2】百害あって一利なしのプレー
なぜなら、長い横パスで攻撃のテンポが遅れること(一拍おくプレーになる)、パスはギリギリ通りましたが、シュトゥットガルト対ハイデンハイムの例のように、カットされる可能性が非常に高く、カウンターを受ける危険があること、さらに猛然と後方から走り込んでくる左ウイングバック(WB)ジョン・トルキンが取るべきポジションに被り、そのランを無意味にしたことです(図4-2)。
このシーンでは町野のプレーがモダンサッカーにおけるWBの大きな役割を潰すことになりました。ここでは深く話しませんが、3バックでWBを置くシステムが今季のJリーグで多く見られます。長い時間攻守においてライン際で過ごし、ボールが来たら悠長に1対1を仕掛けるWBはモダンサッカーにおけるWBではありません。

【図4-3】「BoS」的最適解
「BoS」的な最適解はというと、ベルンハルトソンがターンをした瞬間に味方FWの背後への動き出しによって大きく割れたライプツィヒの右センターバック(CB)と右サイドバック(SB)の間にカットインをすることです(図4-3)。そこに向けてのドリブルからのパスは状況から見てさほど難しくはないはずです。
もしカットインに対してパス出しのタイミングが合わなかったとしても、後方からトップスピードで相手ペナルティエリア内に走り込もうとするトルキンへの選択肢があり、それはまったく悪いオプションではありません。町野の初動がカットインをより効果的にするために、対峙するDFの死角に一旦入り込むように2、3ステップほどで外に逃げたなら理解はできますが、そのままさらに大きく膨らんでボールを受けようとするプレーは結果から見ても何ら意味はありません。