今季の川崎フロンターレから見る「カットインのお手本」
モダンサッカーにおいて、アタッキングサードで悠長に時間をかけて攻撃できるケースは、相手が意図的に深く守備をしない限りはほとんどないでしょう。海外でFWとしてプレーしたいなら、プルアウェイばかりでなく、ゴールに直線的なカットインをより身につけるべきです。
カットインのお手本的プレーは2025年のJ1リーグ第14節、川崎フロンターレ対横浜FCの18分過ぎ、左ウイング(WG)としてプレーした川崎の伊藤達哉のプレーです。
最小限の幅の取り方、そこからの動作に無駄がなく、狭いDF間をタイミング良くいとも簡単に割って入り背後に抜け出し、そのままダイレクトでシュートを打ちますが、残念ながらバーに嫌われてしまいます。
サイドに張ってボールを受け、ドリブルで仕掛けることに執着している小柄なドリブラーを日本でよく見ますが、もし伊藤のようなプレーができれば、サイドからのドリブルの仕掛けもより効果的になるでしょう。伊藤は鋭いドリブルだけではなく、背後の抜け出しでもゴールに向かえるモダンサッカーのサイドアタッカーとして、Jリーグでは稀有な存在と言えます。ぜひ参考にしてください。
【次回に続く】
(文:河岸貴)
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【了】