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どう動くべきだったのか? 町野修斗の受け方は「百害あって一利なし」。お手本は伊藤達哉のプレー【BoS理論(7)】

シリーズ:コラム text by 河岸貴 photo by Getty Images

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「サッカー『BoS理論』ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法」の続編を連載中。ドイツサッカーの根本的な考え方=「BoS理論」を現実のシチュエーションにどう落とし込んでいくか。サッカー日本代表FW町野修斗や川崎フロンターレFW伊藤達哉のプレーを例に解説していく。(文:河岸貴)

『サッカー「BoS理論」 ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法』

カンゼン・刊
河岸貴・著
ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法論「BoS(ベーオーエス)理論」(Das Ballorientierte Spiel:ボールにオリエンテーションするプレー)が足りていない日本サッカーの現状に警鐘を鳴らす。ドイツ・ブンデスリーガの名門シュトゥットガルトで指導者、スカウトを歴任した著者が、日本のサッカーの現状を直視しながら、「BoS理論」におけるボール非保持時の部分、「Ballgewinnspiel:ボールを奪うプレー」の道筋をつけた一冊。

町野修斗の受け方は「百害あって一利なし」

 さて、話は本筋から逸れますが、将来的に海外でプレーしたいFWの選手にぜひもっていてほしい知識のために、少し行数を割きたいと思います。リントン・マイナやベックらのFWの動きとは対照的なプレーが日本人FWでよく見られます。その典型的な例は2024/25シーズン、ブンデスリーガ1部のホルシュタイン・キールで大活躍した町野修斗のプレーです。

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【図4-1】攻撃のスイッチ、ライン間でパスを受けターン

 第30節、ライプツィヒ対キール戦の20分。キール陣内右サイドでキールのキャプテンで3バックの右を務めるティモ・ベッカーが、相手MFとDF間(「Schnittstelle」:シュニットシュテレ)にうまく落ちてきたFWのアレクサンデル・ベルンハルトソンに縦パスを入れます(図4-1)。
 
 ベルンハルトソンがすぐにターンをして右サイドからゴール方向にドリブルを開始。この「Schnittstelle」でボールを受けて相手ゴール方向へプレーできる瞬間は、チーム全体として攻撃のスイッチの入れどころです。これは「ボール保持からテンポを加速させるタイミング」という以降の項で再び解説します。
 
 中央左寄りにいた町野はベルンハルトソンがターンをした瞬間に大きく外に膨らんで受けようとします。このゴールから逃げる受け方が実に日本人らしいと言えます。結局、相手陣左ペナルティエリア角あたりでボールを受け1対1の勝負にいきます。しかし、せざるを得なかったゴールから離れる長い横パスで時間をロスし、素早く帰陣するライプツィヒが1対1にわずかな時間しか与えず、難なくシュートブロックをします。町野はシュートを打たされた形になりました。

 この受け方は百害あって一利なしです。

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