Jリーグ 最新ニュース
日本人選手がドイツなどのトップリーグで目覚ましい活躍を見せる一方、Jリーグなど日本国内リーグで行われているサッカーとドイツのそれには、まだ大きな隔たりがある。ドイツサッカーの根本にある「BoS理論」を知り尽くす筆者による連載の第3回は、Jリーグでよく見られるプレーを例に、「基本的攻撃態度」を突き詰める。(文:河岸貴)
『サッカー「BoS理論」 ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法』
カンゼン・刊
河岸貴・著
ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法論「BoS(ベーオーエス)理論」(Das Ballorientierte Spiel:ボールにオリエンテーションするプレー)が足りていない日本サッカーの現状に警鐘を鳴らす。ドイツ・ブンデスリーガの名門シュトゥットガルトで指導者、スカウトを歴任した著者が、日本のサッカーの現状を直視しながら、「BoS理論」におけるボール非保持時の部分、「Ballgewinnspiel:ボールを奪うプレー」の道筋をつけた一冊。
「BoS理論」的、攻撃方法の可能性と方法
「ダイアゴナルパスやロングパスがまったくできない、あるいは賢明でない場合、ボールサイドから逆サイドへできるだけ速く安全で短いパスで展開する。このゆっくりとした展開は主に中盤を経由する。
通常より1270円お得に観るならDMM×DAZNホーダイ[PR]
もしボール保持者が、FWへの直接的なプレーも、サイド攻撃も中盤を経由する展開も、前方へのプレーの可能性がないと判断した場合、次の選択肢が残される。それは“hinten herum(ヒンテン・へアルム)”というDF、GKを経由する後方でのボール回しだ。このボール回しは安全なパスでプレーしなければならない……。」
つまり、ボールの移動距離が長くなればなるほど、ボールがゴール方向に逆行すればするほど、攻撃の優先順位は低くなります。
表の1)2)a,b の攻撃は直線的にまたは少し迂回しながらも前方(ゴール方向)にベクトルが向く。3)は前進する前段階としてのボールポゼッションとも言える。表にある攻撃の可能性に関する方法・手段はそこに示された以外でも考えられるでしょう。この攻撃の優先順位は理解した上で、ピッチレベルで非常に難しいのは各々のボール保持者が実行する攻撃の可能性の判断・選択です。
そこで個人的にディスカッションしたいのは、3)の攻撃の可能性と方法についてです。2025シーズンのJリーグが開幕し数試合が行われましたが、自陣での「長い」バックパス、横パスをカットされてピンチになる、または失点しているシーンがすでに多く見られています。