【動画あり】それぞれの可能性に順位をつけ、整理しているか
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ボール保持者はまずは前方を狙う。どのポジションでも。Erster Blick in die Tiefはその目的から「BoS」的攻撃プレーの最重要事項になります。相手ゴールへ最短距離の中央攻撃を虎視眈々と狙うと、サイドにスペースが必然的に生まれます。そこで初めてサイド攻撃が「効果的」になります。
この中央攻撃をボールロストのリスクが高いと最初から諦め、ボール保持者が最初の視野がサイドや近くの味方選手に向くようであれば、相手ゴールに向かうことは難しいでしょう。図2で言うと、3)a,b,cの横パス、バックパスのボール保持に終始し、ゴールに向かわないサッカーになります。残念ながら、サイドライン上にゴールはなく、多くのパスをつないでも得点とならず、そしてポゼッションというスポーツはありません。
すでに皆さんは、何となく攻撃の優先順位を頭に思い描いていて、「ここでの優先順位は」などと指導したり、話したりしていると思います。ただ、この当たり前のようなことを、図2のように「順位」というからにはそれぞれの攻撃の可能性に順番をつけ、理由をつけ、整理されていたでしょうか? もちろん、環境条件、対戦相手の強さ、自チームのクオリティ、またはボールの現在地などでこの順位は変わるかもしれませんが、サッカーの「基本的攻撃態度」を徹底的に身につけ、そして攻撃を応用していくべきだと思います。
最後に、Erster Blick in die Tiefの意味合いのドイツ語表現は複数あります。私は個人的には指導の際、Erster Blick nach vorne(エアスター・ブリック・ナッハ・フォルネ)と表現したりします。簡単に省略的にBlick tiefなどでも良いでしょう。このキーワードは特にボールを奪った直後に強く意識したい。次は、前編としてあるボール非保持時との繋がりをも考慮して、Ballgewinnspielでボールを奪った瞬間にまず何を考え、どうプレーすべきか説明していきたいと思います。
(文:河岸貴)
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