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コラム 3週間前

PSG、まぐれではない5-0の衝撃とCL制覇。恐ろしいほど自動化されていた、インテル攻略について【東大分析官の視点】

シリーズ:東大分析官の視点 text by 阪田天祐 photo by Getty Images

ルイス・エンリケが作り上げたもの

 63分、PSGは再びロングカウンターから得点する。ゆったりとしたビルドアップの局面で、一列越えて引き取ったヴィティーニャが前を向くと、一気にテンポを上げる。相手のセカンドラインの守備者と正対して動きを封じると、ライン間で手前を取ったデンベレとの見事なワンツーで、ヴィティーニャ自身が中央に侵入していく。そのまま最終ラインと駆け引きすると、最後は右に展開し、ドゥエがこの日自身2点目を奪って3-0とした。

 73分にはクヴァラツヘリア、87分には途中出場のMFセニー・マユルが得点し、結果的には5-0の完勝。イングランド王者リバプールを倒し、アーセナルを倒したフランス王者が、スペイン王者バルセロナを倒したインテルの上に立った瞬間だった。ネイマールのチームも、キリアン・エムバペのチームも実現できなかった、欧州制覇の夢を叶えたのは、ルイス・エンリケ監督が作り上げた、若き戦士の有機体であった。

 PSGの戦士は、この試合、主に3つの局面において有機的であったと言える。

 1つ目は、カウンター時の連動だ。ポジティブトランジションの際、サイドに流れた選手にボールが渡ると、前線の選手はもちろん、インサイドハーフの選手までもが一気にスプリントをかけ、最終ラインの奥に選択肢を作る。

 ボールホルダーも、その中で相手が対応できない選択肢があればタイミング良く使うし、相手がラインを押し下げて対応してきたら、それを囮に運んだり、他のフリーな選択肢を使ったりして、必ずシュートまで完結させていた。

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