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Jリーグ 2週間前

少年時代の教えがいま活かされる。湘南ベルマーレの控えだった鈴木淳之介をサッカー日本代表へと導いた転換点【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

サッカー人生の転換点は1年前

 高校時代からボランチを主戦場としてきた鈴木だったが、湘南の中盤でなかなか居場所を築けなかった。昨シーズンも開幕から4試合続けてボランチで途中出場したが、イエローカードを2枚もらうなど、試合の流れを悪くする場面も目立ち、第5節以降はベンチ入りメンバーから外れていた。

 
 迎えた6月1日のガンバ戦。最終ラインにコンバートされた鈴木は、3バックの真ん中で89分までプレーした。試合は1-2で敗れたものの、山口智監督から及第点を与えられた鈴木は、その後は3バックの左に定着。最終節までポジションを譲らず、今シーズンの飛躍へとつなげた。

 サッカー人生の転換点となったガンバ戦から1年あまり。代表デビューを果たしそうな状況に、鈴木は「人生、何があるかわからないな、という感じですね」と笑いながらこう続けた。

「コンバートしてくれたというか、(可能性を)見出してくれた(山口)監督には感謝しています。1年前だったら自分は試合に出ていなかったので、(いまが)想像できない感じです。試合慣れしたことで守備でも攻撃でも自分の持ち味をうまく出せるようになったので、そういうところが伸びたのかなと思います」

 年代別の日本代表にいっさい無縁だった鈴木が、北中米大会の開幕まで1年あまりに迫った段階で森保ジャパンに初めて招集された理由は、数字にしっかりと反映されている。Jリーグが試合ごとに発表している個人スタッツで、タックル総数63で3位に、デュエル総数71で2位につけている。

 昨シーズンの鈴木は、それぞれ42位と30位だった。急成長を示す数字に満足していない鈴木は、この1年間で培ってきたもののすべてを、代表の舞台で“ある目的”を込めて練習でぶつけている。

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