4年前と「大きく変わっている」
初戦前日の稲垣は「今は自分がチームを引っ張っていかないといけない立場。それはプレー面でも、精神的な面でも、振る舞いでもそう。そこは(4年前とは)大きく変わっているところ。もちろん優勝しに来ましたし、自分が優勝に導くくらいの気持ちでやっていきたい」と強調。高い集中力を持ってピッチに立った。
スタメンの6人が初代表ではあったが、ボランチの稲垣と川辺駿は代表経験者。しかも2人は広島時代に共闘した間柄で、お互いの特徴を熟知している。
かつて自身もボランチだった森保監督は「攻守の要となるこのポジションだけは計算できる人材を配置したい」と考えたのかもしれない。その狙い通り、稲垣と川辺はスタートから好連係を披露。チームのバランスを整え、スムーズな流れを作った。
開始4分の先制点のシーンは、左ウイングバックの相馬勇紀のクロスにジャーメインが反応。胸トラップから左足を振り抜く形だったが、稲垣は中盤からゴール前にスルスルと駆け上がり、こぼれ球に備えていた。もしもジャーメインのシュートがGKに防がれていたら、先制点は背番号15が決めていた可能性が高い。この“ゴール前の嗅覚”こそ、稲垣の際立った部分なのである。
それが如実に現れたのが、20分の3点目。すでに日本は2-0でリードし、余裕のある状態だったが、相手の縦パスをまず川辺が滑り込んでカット。相馬につなぎ、中央でフリーになっていた稲垣にボールが渡り、彼は迷うことなくドリブルで持ち上がり、ペナルティエリア外側から右足を一閃。豪快にネットを揺らしたのだ。