清水エスパルスに求められた理由
リーグ前半戦は下田北斗や髙江麗央を完全に凌駕しきれず、後半から出番を増やしたものの、18試合出場3ゴールと想定外の結果になってしまう。悪い流れは町田がJ1初参戦した2024年になると加速。浦和レッズから期限付き移籍で加入した柴戸海とキャラ的に重なったのも災いし、前半戦は4試合出場という予期せぬ苦境に直面したのである。
そんな宇野に目をつけたのが、清水エスパルスの反町康治GMだ。同年3月に日本サッカー協会を離れ、5月から故郷のクラブに凱旋した元技術委員長は「清水はうまい選手が多いが、球際が強くて強度の高いボランチが見当たらない」と痛感。町田で出番を失っていた若武者の獲得に率先して動いたのだ。
確かに、昨季前半の清水は中村亮太朗や宮本航汰、白崎凌兵らテクニカルなタイプが中心で、対人守備に絶対的自信を持つ人材はいなかった。タフな環境で戦い抜ける宇野は最高の補強となり、加入後、すぐさまレギュラーに定着。清水の2022年以来のJ1昇格に大きく貢献することになり、今季の宇野はJ1の舞台で躍動しているのだ。
「清水ではダブルボランチの1人として6番と8番でプレーできる人材として、組む選手との兼ね合いで臨機応変に攻守にわたってプレーに関与しています。運動量が多く、中盤でのボール奪取能力を生かしながら、前線のチャンスに絡んでいく仕事を代表でも生かしてほしい。中盤で広範囲でボールを刈り取れるところを国際大会で出してほしいと思い、招集しました」
7月3日の今大会に向けた代表メンバー発表会見では、森保監督も宇野を絶賛していたが、ボールを奪い取る力はやはりJリーグ屈指。そこは誰もが認めるところだ。