“宇野禅斗という選手”を表現するために
実際、ボランチがアクションを起こせなければ、急造チームは回らない。21歳という年齢に関係なく、彼には“統率者の1人”という強い自覚を持って、初めての代表戦のピッチに立ってほしい。
中国代表戦で初キャップを記録することになれば、青森山田時代の同期・松木よりも先の代表デビューということになる。つねに年代別代表の常連で、いち早く海外移籍に踏み切った松木とは違い、宇野の国際経験値はわずかだ。目立ったところでいえば、2022年のモーリスレベロトーナメントにU-19日本代表として選ばれたくらいで、あまり日の丸には縁がなかった。
そういう選手が清水移籍によって大きなチャンスをつかみ、一目散でA代表まで上り詰めたことは非常に興味深いところ。反町GMの慧眼、秋葉忠宏監督の思い切った起用のおかげとも言えるだろうが、宇野自身がチャンスをつかみ取ったのも事実。今回の千載一遇の機会をモノにし、さらに上のステージへの挑戦権を得られるか。それは彼次第である。
「自チームでもボランチというのは基本的にやることが多いポジションだと自分は思っていますし、チームの舵取り役でもある。代表になれば、より相手のレベルも上がって、やらなきゃいけないこと、タスクが増えてくると思います。
それをしっかりと全うできなければ、(既存の)代表選手たちの中に割って入っていくことは不可能。その中での『宇野禅斗という選手が何を売りにしていて、何が突出してるのか』をピッチの中で表現できなければ意味がない。自分ができることは僕が一番よくわかってるので、それを100%ピッチの上で表現するだけだと思います」
実に彼らしい言い回しで自信をのぞかせた宇野。中国代表という相手に堂々とボールを奪いまくって異彩を放つことができれば、9月から本格的強化に突入するコアメンバー昇格も夢ではない。今こそ、秘めたポテンシャルを遺憾なく発揮することが肝要だ。
(取材・文:元川悦子【韓国】)
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