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コラム 5か月前

結果的に体力勝負。サッカー日本代表は“頭脳”で上回れなかった。E-1とW杯予選の共通課題はある【西部の目/E-1選手権】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by 田中伸弥

W杯予選とE-1の共通課題

 この試合の日本代表はヘディングの強さをみせ、ハードワークも素晴らしかった。ただ、頭脳的なプレーで優位性を示すことはできていない。それに関しては韓国代表も同じだったので、その点で不利になることもなく、互いによく走り、闘い、前半はやや日本代表が優勢だったが、後半は韓国代表がホームの意地をみせて上回っていたという試合である。

 どちらもフォーメーションは3-4-2-1、ズレがないので各所で1対1の戦いが繰り広げられていた。どちらもビルドアップを同数で対応されて、ロングボールで前進しようとしていた。

 日本代表は前半途中で稲垣祥か川辺駿がディフェンスラインに下がり、数的優位を作っての前進を試みていたが、結局はロングボールを蹴らされている。その点は相手も同じで、互いにロングボールを蹴るがどちらも収まり切れず、セカンドボールの回収率で優劣が決まる流れになっていた。

 FIFAワールドカップ26(W杯)アジア最終予選では守田英正や鎌田大地が状況に合わせてビルドアップの形を操作して頭脳戦で優位に立っていたが、今回はそれができなかったわけだ。ただ、予選でも守田と鎌田がいなければどうなっていたかわからない。戦術の対応力に関して不安があるのは、予選とE-1で程度の差こそあれ共通課題といえる。

 個々の技量では韓国代表を上回っていた印象だが、味方を上手く使える司令塔的な存在がいなかったため、結果的に体力勝負の展開になってしまっていた。そこで韓国代表に負けなかったのは評価できるが、頭脳戦で上回ればもっと個々の優位性を発揮できていたのではないかとは思う。

(文:西部謙司)

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【了】
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