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コラム 5か月前

佐藤龍之介は言う「急激に成長したわけではない」と。大きな決断の先に待っていた日本代表。そしてW杯へ【E-1選手権コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

なぜ指揮官は佐藤龍之介を抜擢したのか?

 細谷と垣田裕暉の入れ替えは所属クラブでもよく見られる形。ある意味、想定内とも言えたが、佐藤が宮代大聖と代わるのは多少の驚きもあった。2列目要員には年長の原大智、中村草太といった面々もいたし、山田新を入れて2トップ気味にすることも考えられたからだ。

 それでも、指揮官が緊迫した重要局面で佐藤を抜擢したのは、ホンコン・チャイナ代表、中国代表戦での躍動感あるパフォーマンスを高く評価したからに違いない。

 改めて振り返ってみると、ホンコン・チャイナ代表戦の佐藤は63分から登場。最初は右ウイングバック(WB)に入り、4バックに移行してからは右MFでプレーした。続く中国代表戦は2シャドウで先発。非常に鋭い動きで攻撃陣を活性化。コーナーキックやフリーキックのキッカーも務め、70分まで堂々たる働きを見せつけた。

「年齢に関係なく修羅場状態を任せられる」と森保監督も判断したからこそ、ここで佐藤というチョイスに至ったのだろう。

「(出る時には)しっかり守備で穴を作らないことを意識した。集中を切らさず、ボールにしっかりアタックすることを考えて入りました」と本人は目をギラつかせた。

 背番号21は持てるエネルギーを全て注ぎ込むかのように、前線から猛然と走ってプレスをかけようと試みた。だが、若武者が入ってからも、日本は前線で起点を作ることがほとんどできず、韓国代表の度重なるリスタートやクロス攻撃を跳ね返すだけの状況が続く。

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