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コラム 4週間前

佐藤龍之介は言う「急激に成長したわけではない」と。大きな決断の先に待っていた日本代表。そしてW杯へ【E-1選手権コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「全然使ってもらえなかった」悔しさを胸に大きな決断

 82分のイ・テソクの左サイドからのロングシュート、84分のイ・ホジェのゴール正面からのフィニッシュはネットを揺らされてもおかしくなかったが、満を持してピッチに立った守護神・大迫敬介がスーパーセーブ。植田直通や原といった長身選手を次々と投入して守り倒すという森保采配も奏功し、ようやくタイムアップの笛。日本はついに、2022年の日本大会に続く連覇を達成したのである。

「プロになってタイトルを取れていないし、僕自身、初めてなので、シンプルにメダルをもらえて嬉しいですし、自信になるかなと。正直、点数だったりアシストをしたかったですけど、そこはもう過ぎた話なのでしょうがないとして、新しいシャドウのポジションでプレーできたのもよかったと思います」と佐藤も自分に厳しい評価を下しながらも、若者らしい喜びを口にした。

 彼は今季からJ1初参戦したファジアーノ岡山に育成型期限付き移籍しているが、FC東京に在籍した昨季までは全くと言っていいほど試合に絡めなかった。

 2023年8月に久保建英以来の16歳でのトップ昇格を果たし、“FC東京の近未来を担う逸材”と期待され、2023年U-17ワールドカップ(W杯)ではU-17日本代表のエースに君臨したにも関わらず、所属クラブではなぜか出番が巡ってこなかったのだ。

「開幕からメンバー入りが期待できるような立ち位置でキャンプにのぞめたんですけど、全然使ってもらえなかった。練習でいいパフォーマンスをして『絶対、次の週は入る』と確信を持っても持っても外されました」と本人は2024年12月のU-20日本代表合宿で悔しさを爆発させていた。

 迎えた2025年。「今年は絶対に試合に出る」と決意を固めた佐藤はFC東京に残るか、環境を変えるかという決断に迫られ、後者を選択。岡山という未知なる環境に赴いた。1月の宮崎キャンプ時には、偽らざる胸中を吐露している。

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