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コラム 5か月前

佐藤龍之介は言う「急激に成長したわけではない」と。大きな決断の先に待っていた日本代表。そしてW杯へ【E-1選手権コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「半年間で急激に成長したわけではなくて…」

「東京も今季、監督が代わって、そこで得られることも多いと思ったし、プレーしたい気持ちもありました。でも、いろんな選手に身の振り方を相談したら『移籍で得られることも多いし、人としても成長できる』という言葉を沢山もらった。僕自身も『一度外に出て自分の価値を上げることも大事なのかな』と思って、チャレンジを決めました」

 新天地で出会った木山隆之監督は当初、佐藤を2列目要員と位置づけていたが、途中から右WBに抜擢。「点を取るとか点に絡む選手、その能力がある選手は、どこに置いてもゴールに絡める。龍之介には守備のタスクは与えているものの、攻撃はもっとダイナミックに自由にやっていいよという話をしている」という指揮官の信頼に応え、半年間で存在感が急上昇。6月のインドネシア代表戦で待望の初キャップを飾り、E-1で序列を高めることに成功したのだ。

 そうなると、1年後の2026年FIFAW杯北中米大会への期待も高まる一方だが、本人は非常に冷静だ。

「半年間で急激に成長したわけではなくて、しっかり積み上げてきたものが試合で出てるだけ。現状、W杯の試合で活躍できるレベルでは到底ないので、現実を見つめてもっともっとやらないといけないなと思います。フィジカル面もそうですし、全ての判断を速くすることもそう。海外経験の重要性も前から思っていること。それを積み重ねていくしかないですね」

 静かに語る佐藤にとってはここから1年間の過ごし方が極めて重要だ。本気でW杯を狙おうと思うなら、今夏の海外移籍も視野に入れなければいけないだろう。どういう道を辿るかは分からないが、18歳の逸材が2026年W杯行きの可能性を垣間見せたのは事実。それは今大会の大きな収穫だったと言っていい。
 
(取材・文:元川悦子【韓国】)

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【了】

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