一体感≒一辺倒。修正能力の欠如
「相手は一辺倒でやってくるわけではないので、それをいちいち監督が全部を指示するのはできないので。僕たち選手が感じ取りながら『こうやってみよう』という許容はオニさんから各選手がもらっているんで」
チームは生き物で、その塩梅は難しい。選手全員が監督の指示の下で動いているということは、統率が取れている、一体感があると言える。ただ、少しでも歯車がかみ合わなければ、一辺倒やワンパターンという言葉に言い換えられてしまい、とたんにネガティブなニュアンスをまとう。
柏レイソル戦以降はすべて途中出場の選手が試合終盤にゴールを決めて勝負を決めている。勝負強さとも言えるが、前半でリズムを作れなかった結果として招いた苦戦とも言える。厳しい言い方をすれば、ピッチ内での修正能力の欠如が、ハーフタイムの的確な修正や終盤の勝負強さでごまかされていた。
今の鹿島はまさにそんな状態である。うまくいかないとわかったときに決断できる選手がいない。もしくは、それに乗っかることができない。いいときは安西幸輝や小池龍太が気を利かせていたが、前者は怪我で離脱、後者も常にピッチにいるわけではない。
残すはリーグタイトルのみ。日程表に目を移すと、優勝争いの直接対決は2試合だけで、10月後半にヴィッセル神戸と京都サンガF.C.とのアウェイ連戦があるのみ。ここまでの戦いを見ても、ある程度の相手であれば我慢しながら試合を運んでいければ勝機はある。ただ、それでは町田戦のように、神戸や京都に太刀打ちできないだろう。
もちろんチームは成長過程であり、これは断罪ではなく批評であることを忘れてはいけない。
優勝争いの必要条件は、そこまでに勝ち点をできるだけ落とさず、なおかつその2連戦までにピッチ内での修正能力を備えること。それができたとき、この町田戦が意味ある敗戦だったと振り返ることができるかもしれない。
(取材・文:加藤健一)
【関連記事】「100%になることはないんで」鹿島アントラーズ、濃野公人は孤独な離脱期間を回想する「自分のことでいっぱい」【コラム】
「その時のことは忘れて…」序列を落とした樋口雄太の再出発。鹿島アントラーズには「そういう相乗効果もある」【コラム】
「ボロボロですけど…」小池龍太にはピッチに立ち続けた理由がある。「タスキを繋ぐ」鹿島アントラーズが優勝するために【コラム】
【了】