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Jリーグ 3か月前

「残留のために自分が犠牲になれればいい」山根陸が横浜F・マリノスでプレーする幸せ「ステップアップはあとで考えて」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤井雅彦 photo by Getty Images

「ステップアップのことはあとで考えて、今は…」

「外から見ると真面目に見えちゃうのかな(苦笑)。それは環境を変えないと変えづらいかもしれない。ワガママになっても、それがチームに良い影響をもたらせなければ意味がない。リスクはあるけど絶対にそっちがチームの勝利に結びつくプレーなら、それを選択する。例えばゴールにつながる、アシストになる、中盤でひとつ剥がすとか、そのプレーで得られる成果が大きいなら、そちらを選ぶ。あくまでも時間帯や流れ、チーム状況を考えて。今は残留を争っている状況だから」

 どれだけ自分自身を解放できるか。その程度で伸びしろが変わっていく。ただ、その過程でエゴになりすぎては意味がない。あくまでもチームの勝利が最優先で、和を乱すようなプレーや判断は正解にならないと考える。

 一足飛びに成長したいのならば環境を変えるのも有効だろう。個の力を強く求められる海外ならば、異なる成長曲線があるかもしれない。山根はプレーヤーとしての完成形をどのように描いていくのか。

「影響力をどうやって出すかがテーマ。もともと声を張り上げるタイプではないし、プレーで状況を変えられるのは自分の良さ。ゴールやアシストといった数字もそうだけど、結果を出せればすべてが変わる。結局は今のプレーが今の自分の力だと思う。無理やりリスクが高い方を選ぶのは、道筋が見えている時だけ。でも見えていない時の方が多いので選択していない。全体像を見ながら成長していきたい」

 あくまでも自分らしく、階段を上がっていく。当面の目標は、チームを残留へ導くこと。

「ここでプレーする幸せがある。Jリーグも難しいリーグだし、ここでしか得られない経験や学ぶものもある。特に未来のことは考えずに、自分が何をすべきかをより濃く突き詰めていきたい。キャリアのステップアップのことはあとで考えて、今は必死に走り続けるだけ。とにかく今はチーム状況があるので、まずは残留すること。そのために自分が犠牲になれればいい。自分のことよりも、チームが良くなればいい」

 過度な自己主張は、今はしない。山根陸は山根陸のやり方で、大きくなってみせる。

(取材・文:藤井雅彦)
 
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【了】

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