「この悔しい気持ちを絶対に忘れちゃいけない」
「ゲームキャプテンの僕がチームメイトやスタッフ、サポーターのみなさんをJ1へ連れていけなかった悔しさや悲しさとか、いろいろと支えてくれた人たちの顔が思い浮かんでしまって涙が止まりませんでした。この悔しい気持ちを絶対に忘れちゃいけない、やらなきゃいけない気持ちになりました」
シーズンオフに入り、引退した遠藤さんからキャプテンを引き継いだ。思いはさらに強くなった。
「チームが常に上にいければと思いますし、そのなかで自分の役割もいろいろありますけど、まずはピッチで、一人のサッカー選手として表現することで自然とチームもついてくる。今日に関しては途中から出場して、アシストという結果でみんなに勢いをもたらせるのが自分の役割だったと思っています」
自身の閃きに導かれたアシストに、ここまでチーム最多の7ゴールをあげてきた軌跡に、郷家のキャプテンシーが反映されていた。水戸との大一番は1-1の引き分けに終わった。残り9試合。昇格プレーオフ圏内の6位と首位の水戸、2位の長崎との勝ち点差6ポイントをキープした郷家はすぐに気持ちを切り替えた。
「負けなくてよかった、というひと言ですね。ここで負けていたら優勝や自動昇格争いだけでなく、昇格プレーオフ圏内との差も確実に開いていた。首の皮が一枚つながったと思って今後を戦っていきます」
自分の人生を変えてくれた一戦として、雨が降る敵地で仙台が川崎フロンターレに逆転勝ちした2011年4月23日のJ1第7節をあげる。東日本大震災による長期中断が再開された一戦。仙台のジュニアに所属していた当時11歳の郷家は、自身も被災していた逆境からはい上がっていく勇気を仙台の戦いからもらった。
「形は違ってきますけど、今度はそういうJ1昇格の感動というものを届けたい」
あれから14年。仙台の一員となって3年目を迎え、森山監督との出会いを介してさらに献身的かつ泥臭く戦う精神を宿し、キャプテンという大役も担った郷家が、恩返しへ向けたラストスパートに入る。
(取材・文:藤江直人)
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