松田直樹さんもそうだった「やめたら終わり」
マリノスのレジェンドであり、角田が前橋育英時代から先輩として尊敬してきた松田さんは、闘争心あふれるプレーと、ときにチームメートと喧嘩するほどの強い言葉で力を伝染させていた。
それはむしろ松田さんに憧れているからこそ出た言葉かもしれないが、角田も闘争心を持つタイプである。
また、松田さんは決してミスが少ないプレーヤーではなかった。ミスをしても下を向かずにチャレンジを続け、挽回する。そのメンタリティーやプレーがサポーターに愛された理由の一つだったはずだ。
角田も、ミスを反省しながらこう話す。
「自分の持ち味というか自分のプレーでもあるし、チャレンジの結果ではあった。やめたら終わりなので、続けていきたい」
パスの選択肢や精度に問題はあった。結果として裏返されることになってしまった。それでも、違う選択肢も含めてパスがつながっていれば、伊藤をかわしたドリブルはビッグプレーと評価されていたに違いない。チャレンジをやめず、自分のプレーで貢献してこそ、自分がチームを勝たせたと言えるはずだ。
勝ちたい試合を自分のせいで落としたという思いに駆られるが、後悔は先に立たない。そして、試合後のサポーターの様子をじっと見つめたことで決意をさらに強くする。角田の語気は自然と強まっていった。
「クラブに関わる全ての方々のために選手がやらなきゃいけないという状況は変わらず、自分たちが勝ち続ければ、負けなければ残留という結果は自ずとついてくると思うけど、まずはそこに向けて一人ひとりがもっと『チームのために』という思いを強くしないといけないと思います。
応援してくれる人がいるかぎり、僕たちは止まることはありません。次の試合もホームなので、また上を向いて立ち上がる姿を見せたいです」
(取材・文:菊地正典)
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