「本当にすごい選手」
「パス出しを含めたプレースタイル的に大好きでしたし、体もそれほど大きくなかったけれども本当にすごい選手でした。同じチームになってみて人間性も素晴らしかったし、今も尊敬しています」
苦境で途中出場したFCソウル戦。チャンスが生まれそうな匂いを嗅ぎとり、左利きという自身の武器を生かして最終ラインを突破。ワンタッチかつノールックで放ったクロスで同点ゴールの起点になった一連のプレーには、中村氏を追いかけながら下田が積み重ねてきた濃密な経験のすべてが凝縮されていた。
FCソウル戦の38分に林の相手への接触がファウルと判定され、与えたPKがVARから主審によるOFR(オンフィールド・レビュー)を経て取り消された。林自身がやってしまったと覚悟した場面。前日に2人で徳を積んだおかげでは、と問われた下田は「僕もラッキーだと思いました」と声を弾ませている。
「髪の毛を拾っておいてよかったですよ。なので、これからも(掃除を)続けていきます」
町田にとって歴史的なアジアの初陣は1-1でそのまま引き分けた。勝利こそ奪えなかったものの、ACLEリーグステージは年をまたぐスケジュールのもと、来年2月まであと7試合が組まれている。
「ただ単に出場するだけでなく、アジアでしっかりと勝ち進んでいきたいと全員が思っています」
町田の思いを代弁した下田が見据えるのはACLEだけではない。
クラブ史上で初めてベスト4に勝ちあがった天皇杯JFA第105回全日本サッカー選手権大会。そして首位の京都サンガF.C.を勝ち点4ポイント差の5位で追い、23日には敵地で逆転優勝をかけた京都との直接対決が待つJ1リーグ戦の残り8試合で、町田が苦しい状況になるほどいぶし銀の輝きを放ち、チームを救う自身の姿が脳裏にはっきりと刻まれている。
(取材・文:藤江直人)
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