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J1 2か月前

清水エスパルスで「一番もっている選手」。小塚和季がいる大きな意味。「貴士と和季がいると面白いフットボールが…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「僕をしっかりと見つけてくれていた」

 敵陣のセンターサークル付近でパスを受けた乾貴士が、得意のドリブルで縦へ進んでいく。そして、神戸の選手たちを十分に引きつけたうえで、左サイドをフォローしてきた左ウイングバックの山原怜音へパスを通した。

 
 次の瞬間、山原が選択したのは左足によるワンタッチクロス。ボールは神戸ゴールから遠ざかる軌道を描きながら、ややマイナスの方向へ飛んでいく。神戸の選手たちが下がりながらの対応を余儀なくされた状況で、ペナルティーエリア中央に生じたわずかなスペースに走り込んできたのが小塚だった。

「(山原)怜音がフリーの僕をしっかりと見つけてくれていたので。あとは僕が決めるだけでした」

 イメージ通りのクロスに利き足の右足をヒット。ジャストミートとは映らなかったボレーは、それでも神戸の守護神・前川黛也の右側の空間を正確に射抜き、右ポストに当たってゴールインした。

 今シーズンから所属する清水で出場13試合目、プレータイム268分目で訪れた待望の瞬間を小塚はこう振り返った。

「ボールをふかさないように、丁寧に、という感じでした。とにかくゴールの枠に入れよう、と」

 J1リーグでのゴールから遠ざかっていたのは、小塚のキャリアとも関係している。

 大分から移籍した川崎フロンターレで3シーズン目を迎えていた2023年7月。小塚は韓国Kリーグの水原三星ブルーウィングスへ完全移籍で加入した。自身初の海外挑戦を「もっとプレーがしたかった」とこう振り返る。

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