馬鹿真面目過ぎた。教科書通りの鹿島アントラーズ

「今はちょっと馬鹿正直にポジションを取りすぎな気もするし、馬鹿真面目なサッカーやってるって言ったら変ですけど。俺はここ、俺はここっていうポジショニングが馬鹿真面目すぎたのかなと思った」

　直近の試合でも選手同士の息の合ったプレーは増えてきているように見えるし、目線は揃ってきているように見える。だからこそ、ガンバから見れば対応しやすかったのかもしれない。

　チームの約束事や狙いは勝利のためにある。では、勝利に近づく確信があるならば、その約束は破ってもいいはずだ。鹿島には約束を破る勇気が必要だった。

　特に攻撃面において、鬼木達監督もそういったアイデアを制限する様子はこれまでもなかった。

「鬼木さんから求められてないけど、新たなサッカーを選手たちが示したら、鬼木さんは『それもあるね』と許容する方だと思う。その一手に選手が踏み込まないと、鬼木さんの教科書通りの分かりやすいサッカーで、相手にも分かりやすくなってしまう。そこから逸脱したものをもっと増やせたらいいと思う」

　鹿島はアウェイで優勝を争うヴィッセル神戸と京都サンガF.C.との直接対決を経て、残留争いを強いられる3チームとの対戦が残されている。

　特に後者は時間帯によっては現実的に勝ち点1を目指してくることも十分に考えられる。そういった意味でも、この試合を教訓にできなければ優勝に手は届かない。

　この引き分けという結果自体は鹿島にとっては決して悪くない。ただ、優勝することの難しさは鹿島というクラブの歴史が教えてくれるはずだ。その難しいミッションをコンプリートするためには、こういった課題もクリアしていかなければならない。

（取材・文：加藤健一）

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