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J1 1か月前

「これは僕たち選手からのSOS」堀米悠斗が魂の叫び。「気持ちではない」アルビレックス新潟が抱える問題とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人

 明治安田J1リーグ第36節が11月8日に行われ、アルビレックス新潟は敵地で湘南ベルマーレと対戦した。すでにJ2降格が決まっているチーム同士の一戦に、新潟は2-5で惨敗。試合後、キャプテンの堀米悠斗が取材エリアに現れると、魂の叫びを残していった。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
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「とにかく勝ちたかった一戦だった」

 対照的に新潟をしっかりとスカウティングし、入念な事前対策をチーム全員へ浸透させたうえで、迷いなく前へ、前へとプレッシャーをかけてきたのが湘南だった。堀米はさらにこんな言葉を紡いだ。

「何も感じていなかったら、僕ももちろん何も言いません。僕は本当にこのチームをよくしたいし、選手たちも毎日を100%全力でやりながら少しでも新しい発見をしたい、という思いでいる。決して気持ちが折れているわけじゃない、というのを伝えたい一方で、選手一人でやれる限界も感じていたところだったので」

 サッカー日本代表戦などの開催で日程が空く次節の30日には、本拠地デンカビッグスワンスタジアムでの今シーズン最終戦として、優勝争いで鹿島アントラーズを勝ち点1ポイント差で追う柏レイソルと対峙する。

「来シーズンもJ2で戦う相手だからとか、そういったものは別に何もなかった。とにかく勝ちたかった一戦だった。アウェイにもこれだけ来てくれるのに、悔しい思いで帰すことだけが本当に申し訳ない」

 敗れた湘南戦だけではない。すべてのアウェイへ大勢の老若男女が駆けつけ、スタンドの一部をオレンジ色に染めながら選手を鼓舞してきたファン・サポーターへ感謝の思いを届けるために、堀米は柏とのホーム最終戦、そして味の素スタジアムに乗り込む12月6日のFC東京との最終節へ向けた決意を新たにした。

「僕たちに足りない、と思われているのはそこじゃない」

「セカンドボールへの反応を含めてもっと走るなど、まずはそういった甘い部分を徹底して改善する。いまさらトラップが上手くなって、シュートも上手くなって、じゃあそれで気持ちが伝わるのかと言えば決してそうではない。僕たちに足りない、と思われているのはそこじゃない、というのはチームのみんなにも伝えた。

しっかりと反応して、体をぶつけあった結果として負けるのならばしょうがない。でも、そもそも体をぶつける位置にいないとか、同じところからスタートしたのに、相手のシュートが決まった瞬間に相手のほうが前にいるのがおかしい。失点を防いで、ゴールを奪っていくためにも、もっともっと早く反応しないと」

 最後にあげた白星をさかのぼっていけば、ホームで横浜F・マリノスを1-0で振り切った6月15日の第20節に行き着く。

 6月23日から樹森大介前監督に代わって指揮を執る、入江徹監督のもとでも泥沼から脱却できない新潟の連続勝ち星なし試合は、湘南戦で4分13敗の「17」に伸びた。

 戦いの舞台をJ2に移す来シーズンも、もちろん新潟の戦いは続いていく。J1復帰へ向けて気持ちを切り替えて、再び前を向いていくためにも長く、苦しいトンネルから抜け出して今シーズンを終えたい。

 自らは嫌われ者になってもいい、という覚悟のもとで、新潟を愛してやまないキャプテンは選手たちの意識次第ですぐにでも変えられる点を、否が応でも耳目を引く「SOS」という言葉を駆使して訴えた。

 魂の叫びといっていい堀米の取材エリアにおける対応は、終わったときには実に15分近くに達していた。

(取材・文:藤江直人)

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【了】
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