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J2 4週間前

「J1の舞台で活躍して…」V・ファーレン長崎、米田隼也が追い求める2つの目標とは。「そのリベンジをしたい」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

 明治安田J2リーグ第37節、2位のV・ファーレン長崎は、勝ち点1差で首位に立つ水戸ホーリーホックとの大一番に2-1で勝利し、最終節を残して首位に浮上した。頂上決戦の重圧に打ち勝った米田隼也は、仲間から託された思い、そして長崎で積み重ねてきた悔しさを背負い、自ら仕掛けて掴み取った値千金のPKで勝利を呼び込んだ。その一瞬には、30歳のサイドアタッカーが歩んできた軌跡が凝縮されていた。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
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「そのリベンジをしたいと…」

「当時はフィジカル的にもメンタル的にも、大きな差を感じていました。そのリベンジをしたいと思い、J2の舞台で再チャレンジをしてきたなかで、僕自身はすごく成長を遂げられてきたと思っています」

 長崎ひと筋でプレーし、2019シーズン以降はJ2リーグだけで209試合に出場。左右のウイングでもプレーしてきた攻撃面での経験が、左ウイングバックを主戦場とする今シーズンでも力強く脈打っている。

 勝利に大きく貢献した水戸戦後。米田は79分に自身との交代でピッチに立った、前橋育英高校から加入して4シーズン目を迎えている22歳の若きライバル、笠柳翼の存在にまず感謝している。

「本当に翼(笠柳)のおかげというか、もともとサイドアタッカーだった翼のものすごいドリブルを、自分もベンチスタートしたときや、交代でベンチへ下がったときに何度も見てきたので」

 そのうえで笠柳のプレーに刺激を受けた結果が、水戸戦でのプレーにつながったと笑った。

「僕ももともとはサイドアタッカーだったので、それを呼び起こしながらずっと準備してきました。何よりも仕掛ける、という気持ちを心がけていましたし、加えて翼にはないところで守備や上下動、PK獲得につながった球際のところで自分のよさも出せた。本当にいいパフォーマンスだったと思っています」

 2018シーズンから長崎ひと筋でプレーする選手は、米田の他には澤田崇や富澤雅也くらいになった。

 それでも米田は「最初はこんなにも長く長崎でプレーするのは考えられなかった」と屈託なく笑いながら、キャプテンを務めた2023シーズンが、いま現在にいたるターニングポイントになったと打ち明ける。

「そこでものすごく責任感が生まれました」

「自分はそういう(キャプテンという)タイプではなかったので、本当に驚きましたけど、そこでものすごく責任感が生まれましたし、ファン・サポーターのみなさんの長崎に対する愛もすごく感じました。

 その愛を返したいし、みんなを笑顔にしたい。それを一番のやりがいにして挑戦を続けています」

 ファン・サポーターへの最大の恩返しが、クラブ史上で2度目のJ1昇格となる。

 長崎と勝ち点5ポイント差の4位につけ、自動昇格の可能性を残す徳島ヴォルティスのホーム、鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアムに乗り込む29日のJ2最終節に勝てば、リーグ優勝と同時に夢がかなう。

「長崎のファン・サポーターだけでなく、本当に長崎県民みんなの夢だと思うし、それを僕たちがプレッシャーとして背負って大きなエネルギーに変えて、最後、絶対に勝ち取りたいと思います」

 長崎の一員としてやりがいのある仕事に加えてもうひとつ、個人的な夢があると米田が再び笑う。

「J1の舞台で活躍してリーグを代表するサイドアタッカーに、サイドプレーヤーになりたい。今日も大一番でしたけど、自分自身がさらに成長するための一戦ともとらえながら臨みました」

 長崎に関わるすべての人々が思い描く夢をかなえ、長く胸に秘めてきた個人的な夢への出発点を手にするまであと1勝。今月に30歳になったばかりの身長175cm・体重72kgの小柄なダイナモは、ふたつの目標を貪欲に追い求めながら、自動昇格する2チームがまだ決まっていない運命の最終節を待つ。

(取材・文:藤江直人)

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【了】

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