明治安田J2リーグ第38節(最終節)が11月29日に行われ、V・ファーレン長崎は敵地で徳島ヴォルティスと対戦。試合は1-1の引き分けに終わったが、3位のジェフユナイテッド千葉を勝ち点1差で上回ったため、来季からのJ1昇格が決定した。殊勲の同点弾を決めた翁長聖は、ピッチが歓喜に包まれる中ひとり涙を見せた。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
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「ひとつも嬉しくなかった」
「いやあ、悔しさですね。ひとつも嬉しくなかった」と。
「僕はこのチームを優勝させるために来たんで、嬉しさよりも悔しさを感じた。昇格できても僕は喜べなかった。3回の昇格の中でも今回が一番悪い意味で印象に残ってます。
自分はシーズン途中から来たんで、1年やってたら話は違うと思いますけど、途中から来た分、優勝を目指していた。そのチャンスがあったのに、取りこぼしてしまったので、申し訳なく思います」
翁長にしてみれば、直前までJ1でやってきた自分が長崎をJ2優勝させなければ意味がないという思いが強かったのだろう。
キャプテン・山口蛍も「J2で優勝しなきゃいけないっていう使命感の中でこの1年、ずっとやっていた」と語ったが、彼らは最高峰リーグの難しさを痛感しているからこそ、優勝にこだわり続けたに違いない。
「長崎にはポテンシャルはあると思います。だけど、みなさんも知っている通り、J1はもっとバケもんみたいな選手がいるリーグ。もっとやらなアカンと思いますし、自分としてもヴェルディで1年半、やってきたことがあるんで、さらにやるべきことを探しながら、うまくやっていけたらいいと思います」
昇格決定の記念すべき日に、決して浮かれることなく、厳しい目線でチームを俯瞰できる人材というのは実に頼もしい。長崎が今後、J1で確固たる地位を築いていくためにも、翁長の存在は必要不可欠ではないか。
2017年・2025年の大一番で歴史的ゴールを奪っただけでも大きな意味があるが、彼には誰にも負けない貪欲に高みを目指し続ける姿勢がある。それを貫き、2026年J1ではさらに存在感を高めていってほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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