
ファジアーノ岡山の守護神・スベンド・ブローダーセン【写真:Getty Images】
ファジアーノ岡山は11月30日、明治安田J1リーグ第37節で浦和レッズと対戦し、0-1で敗れた。ホーム最終戦に敗れ、リーグ戦10試合未勝利となったが、ドイツ生まれの守護神・スベンド・ブローダーセンは、今季限りで現役を引退するベテランGK金山隼樹からチームが大切にしてきたものを受け継ごうとしている。(取材・文:難波拓未)[2/2ページ]
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「岡山に来る前は上から言うタイプだった」ブローダーセンが金山隼樹から受け継いだもの
今年の宮崎キャンプでトレーニングに励むファジアーノ岡山のスベンド・ブローダーセン【写真:編集部】
「チーム内での振る舞いや、チームメイトとのコミュニケーションの取り方をたくさん学びました。『ああしろ、こうしろ』と上から言うんじゃなくて、みんなと同じ目線で話し合って一番良い答えを出す。岡山に来る前は上から言うタイプだったし、自分とDFの繋がりをうまく構築することができなかったから、すごく良いことを学べました」
「GKが1人で全部を守ることはできない。私自身どこまで出るとか、どこまで守れるとかわかってるし、それをDFもわかってくれてる。逆も然りです。だから、守備陣は自分の仕事に集中できていると思います。例えば、DFは(シュートを止めることが)無理でもなんとかブロックしようとする。
そうすると、私はボールが見えなくなる。もちろん止めにいくけど、止めづらくなりますね。でも、今は一緒に作った守備の仕方があるからすごく守りやすくなった。例えばDFが右側を守り、GKが左側を守る。そのようにして役割分担をして、チームで守ることが大事。サッカーはチームスポーツだから」
最古参の金山が8年にわたって守り続けてきた岡山らしさ。それは最後まで諦めない気持ちや、全員で粘り強く戦う一体感、応援してくれるサポーターと喜びを分かち合うためにひたむきに頑張り続けるプロフェッショナルに代表されるが、それだけではない。
チームメイトと信頼し合い、連携を深め、チームの土台となる堅守を構築することも受け継がれてきた。
今節の結果で10試合勝ちなしとなった。歯がゆい時間が続いている。それでも背中を押し続けてくれるサポーターと今度こそ喜びを味わうために、試合終了直後、次節の勝利に必要な守備の修正を行った。
岡山にやってきてから2年間、GK大国ドイツで生まれ育った背番号49に岡山らしさが深く刻まれていると感じる行動だった。
クラブを長年支え続けた守護神から、チームを国内最高峰の舞台に押し上げた守護神へ。記録にも記憶にも残るJ1元年のホーム最終戦で、確実にバトンが受け継がれていた。
(取材・文:難波拓未)
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