明治安田J1リーグの第38節(最終節)が12月6日に開催され、鹿島アントラーズはホームで横浜F・マリノスと対戦した。勝てば優勝が決まる一戦を2-1でものにし、9年ぶりのリーグ制覇が決定。この試合でボランチに入った三竿健斗は、シーズンの集大成のようなパフォーマンスを見せた。彼を変えた指揮官の言葉とは――。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
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「守備だけやろう」の考えを変えた監督の言葉
そこから主力を射止め、2018年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇の原動力になったが、同年の小笠原満男引退後はタイトルから遠ざかった。
コロナ禍の頃は自身がキャプテンマークを巻いたこともがあったが、どうしても勝てない。責任感が強すぎるあまり、自分のパフォーマンスも上がり切らない時期もあった。
そこからもう一段階飛躍するため、2022年に海外移籍を決断。ポルトガルのサンタ・クララ、ベルギーのルーヴェンでプレーしたが、思うような活躍は叶わず、2024年の鹿島復帰後も状態を引き上げるのに苦しんだ。
それでも2025年は春頃からじわじわと調子を上げていき、柴崎岳に代わるボランチ陣の主軸に君臨。知念や舩橋佑と安定感あるコンビネーションを見せ、中盤の安定に貢献した。
その集大成がこのマリノス戦だった。
鬼木監督が求めていたビルドアップとトランジションの両方を織り交ぜながら、圧倒的に支配して勝利した。その試合内容含めて、三竿は大きな成長を実感したはず。
「今までの自分はボールを受けることが怖い部分もあった。『守備だけやろう』と考えていた時もあったんですけど、オニさんは『ボランチは全ての局面で好守にわたって支配するポジションだ』と言い続けてますし、その要求に応えるためにトライして、自分の可能性を広げられたと思います」
29歳にして三竿は新たな自分と出会えたという。
ようやく1つのハードルを乗り越えたが、鹿島が常勝軍団の看板を取り戻すためには、この先も勝ち続けないといけない。
それは彼自身もよく分かっていること。
2026年には30代に突入するが、まだまだ飛躍を続けなければいけない。
彼自身がかつての小笠原のように複数タイトルの牽引役になってくれれば理想的。まだまだやるべきことは多そうだ。
(取材・文:元川悦子)
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