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Jリーグ 4か月前

「スキッベさんのもとでやれてよかった」佐々木翔が振り返るサンフレッチェ広島の濃密な4年間。「もちろんいつかは終わりが…」【コラム】

サンフレッチェ広島、佐々木翔
サンフレッチェ広島の佐々木翔【写真:Getty Images】



 AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)リーグステージ第6節で、サンフレッチェ広島は上海申花を1-0で下し、年内最後の試合を白星で締めくくった。36歳となった今も衰えを見せない“鉄人”佐々木翔は、この日も存在感を発揮した。試合後、今シーズン限りで退任するミヒャエル・スキッベ監督との4年間へ思いを馳せている。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
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「本当にスムーズな4年間」

サンフレッチェ広島、ミヒャエル・スキッべ監督
JリーグYBCルヴァンカップで優勝したサンフレッチェ広島【写真:Getty Images】

「特にスキッベさんは僕たち選手にポジティブな声がけが多かった分、チームとしても大きな波もなかったというか、問題が起こることもありませんでした。本当にスムーズな4年間だったと思っています」

 城福浩監督(現・東京ヴェルディ監督)に率いられた2020シーズンから務めていたキャプテンを、スキッベ体制下でも引き続き託された。もっとも、佐々木は意外な舞台裏を明かしている。

「僕としては次の選手に回そう、回そうとずっと思っていましたけど、スキッベさんが僕とシオくんの2人に『チームの先頭に立ってくれ』とずっと言ってくれたなかで、だいぶ引っ張りましたよね。

 それでも自分としては正直、キャプテンとしてやることはほとんどなかったですよ。もう何年も前から僕がやらなくてもいいくらい、しっかりしている選手がこのチームには大勢いるので」



 ホームで湘南ベルマーレに勝利した6日のリーグ戦最終節後のセレモニー。スキッベ監督はファン・サポーターを前にした惜別スピーチのなかで塩谷、そして佐々木の名前をあげて喝采を浴びた。

「シオ(塩谷)とショウ(佐々木)、2人のキャプテンには特別な感謝の思いを捧げたい。いつも話をさせてもらってきたし、彼ら2人の意見を通さなければいけない状況も数多くあったので」

 指揮官から名前をあげられた佐々木は「別に驚かなかったですよ」と懐かしむように苦笑した。

「僕とシオくんの2人を…」

サンフレッチェ広島
JリーグYBCルヴァンカップで優勝したサンフレッチェ広島【写真:Getty Images】

「スケジュール面などでちょっとした相談があるときに、僕とシオくんがちょこちょこと呼ばれていました。それこそ『新幹線で行くか、それとも飛行機で行くか』と話したときもあったくらいでした。

 スキッベさんとしても、最後はシオくんの決定をチームとして待っているようなところもありました。融通を利かせてもらったというか、僕とシオくんの2人を本当に尊重してくれる監督でした」

 このコラムを執筆している時点で、後任監督の発表には至っていない。一部メディアは具体名とともに候補を報じたなかで、佐々木は「新しい監督がくるのは大きな転機」と位置づけながらこう続けた。



「本当にスキッベさんのもとでやれてよかった。特に若い選手たちにとっては、メンタル面をしっかりと整えてくれるような素晴らしい監督と、早い段階で出会ったのは本当に素晴らしい経験になるので」

 かけがえのない日々を過ごした一方で、ほんのわずかながら悩みの種もあると打ち明けた。

佐々木翔が懸念する悩みとは…

サンフレッチェ広島 佐々木 翔
サンフレッチェ広島の佐々木翔【写真:Getty Images】

「休みの多さがみんなの体に染みついていなきゃいいかな、というところですかね。実際、僕たちはどのチームよりも休んでいます。本当にめちゃくちゃ休ませてもらったので、どうなることやら、ですね」

 他の指揮官と一線を画すスキッベ監督のアプローチのひとつに、シーズン中でもオフを数多く設ける点があげられる。

 試合ごとに対戦相手への対策を講じる必要はなく、いかに自分たちのサッカーを貫けるか。絶対にブレない方針のもとで、ラストマッチにも湘南戦翌日から2日間のオフを設けて臨んでいた。

 前日練習だけで守護神の大迫、左から佐々木、荒木、塩谷で組む鉄壁の最終ラインを中心に上海申花を相手にクリーンシートを達成。攻めてはセットプレーを確実に仕留める展開はスキッベ体制下で何度も演じられたものであり、去りゆく指揮官へのメッセージでもあった。佐々木がチーム全員の思いを代弁した。



「これまでを象徴し、さらに来シーズンにもつながるいい試合でした。ちょっとだけゆっくりしますけど、来シーズンはしっかりと覚悟をもって、全員で新しいチームを作っていかなきゃいけないと思っています」

 ひとつのサイクルが終わり、まもなく新たな挑戦が幕を開ける。

 敵味方で再会する可能性もあるスキッベ氏が築き上げたスタイルを、さらに継承・発展させるために。佐々木は揺るぎない決意を胸中に秘めながら、5000分を超えるプレータイムを戦い抜いた心身に、つかの間のオフで英気を注入していく。

(取材・文:藤江直人)

【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。

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【了】

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