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古巣の水戸がJ1昇格。徳島ヴォルティス、山田奈央は何を思うのか。「『残っていればよかった』みたいな話をされたけど…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images
山田奈央 徳島ヴォルティス
徳島ヴォルティスに所属する山田奈央【写真:Getty Images】



 明治安田J1昇格プレーオフ2025・決勝が13日に行われ、徳島ヴォルティスはジェフユナイテッド千葉とアウェイで対戦。0-1で敗れ、J1昇格をあと一歩のところで逃した。DF山田奈央は、敵地であふれ出る涙を抑えることができなかった。昨季まで過ごした古巣・水戸ホーリーホックがJ1昇格を果たした事実も、彼にとっては悔しさの残る結果になったはずだが、いま抱く思いとは。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
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「『水戸に残っていればよかった』みたいな話をされたんですけど」

徳島ヴォルティス
試合終了後の徳島ヴォルティス【写真:Getty Images】

「いろんな人に『水戸に残っていればよかった』みたいな話をされたんですけど、水戸は水戸で自分が残っていたら優勝できていないでしょうし、徳島も自分がいなければここまで来れなかったという自信はある。

 先に水戸はJ1に行きましたけど、自分のサッカー人生が終わった時に誰にも負けないキャリアを築けていると思いますし、そうしていかなければいけないとも思います」

 山田がこう語気を強めるのも、浦和ユースからトップに上がれず、挫折を乗り越えながらここまで這い上がってきた経験が大きいのだろう。

 同ユースの同期には日本代表GK鈴木彩艶がいて、「自分はまだまだこんなところで足踏みしていてはいけない」という危機感も強いという。

「彩艶には追いつけるし、追い越せると思っている。彼の存在が励みになっているというより、悔しいし、負けたくないという気持ちが強いですね。さっきも言いましたけど、サッカー人生が終わった時に追い越せていたらいいと考えてます。



 そのためにも、今度こそチームを勝たせるCBにならないといけない。今日もセットプレーで1点を取っていたら、自分たちの流れに持っていけた。僕自身もセットプレーのチャンスが何回もあった中で、今年は無得点で終わってしまった。

 自分が年間4〜5点取れるような選手になっていれば、勝ち点的にも昇格できていた。いくら失点を防いできたとはいえ、1点も取れていないのは自分の課題。チームを勝たせるCBになると言っている以上、目指すべきところなのかなと思います」

 山田は”鉄壁の守備”と”得点力”を兼ね備えたスーパーCBを目指していく構えだ。今季の一挙手一投足を見る限りでは、その領域に辿り着くのは決して不可能ではない。

 彼のような有望な人材が最高峰リーグの舞台に立てないのはあまりにも惜しい。できるだけ早くJ1に行けるように自分自身を磨き、徳島を強くしていくしかないだろう。

 山田奈央が千葉戦の屈辱を糧にどのような変貌を遂げるのか。それが非常に楽しみだ。

(取材・文:元川悦子)

【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。

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【了】
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