
鹿島アントラーズの関川郁万【写真:元川悦子】
昨シーズンに負った怪我による長期離脱を経て、復帰が迫りつつある関川郁万。しかし、鹿島アントラーズでの立ち位置は以前とは明らかに異なる。守備陣の層は厚みを増し、鬼木達監督の下で求められる役割も変化した。鹿島の守備を支えてきた絶対的存在は、今何を感じ、何を見据えているのか。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
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「優勝が決まったマリノス戦を見て…」

2025シーズン、Jリーグ優勝を果たした鹿島アントラーズ【写真:Getty Images】
「優勝が決まった(12月6日の横浜F・)マリノス戦を見て、『ホントにみんな、できることが多くなったな』という印象を受けました。リハビリ期間に久しぶりに外に出た時も急にうまくなったように感じたけど、あの試合の時は『オニさんの下でやるとサッカーがうまくなるんだ』と心底、思いました。
中盤の前の選手も1個1個の技術が2〜3レベル上がったような感じを受けましたし、ディフェンスラインの選手たちもそう。
そして今年に入って本格的に練習に入ってみたら、今までと違う形でボールが出てきたり、シュートを打てたりする。新たな刺激があってすごく楽しいですね」
関川は進化を遂げつつあるチームメートとともにピッチに立てる喜びを噛みしめている様子だ。
ここからは完全復活へと歩みを進めていくことになるが、関川のポジションが約束されているわけではない。
前述の通り、J1制覇の原動力となったキム・テヒョンが計算できるDFとなり、昨季出番の少なかった千田も目の色を変えて取り組んでいる。今は非常に競争が激しい状態なのだ。
「植田と関川しかいない」と言われた状況が今や…
鹿島アントラーズの関川郁万【写真:Getty Images】
加えて言うと、ユース昇格組の元砂晏翔仁ウデンバと大川佑梧もいる。元砂は規格外のサイズと身体能力が武器だし、大川もCBのみならず、サイドバックもこなせる万能性に秀でている。
「植田と関川しかいない」と言われた2年前とは状況が一変しているのだ。
本人は前述の通り、百年構想リーグの半年間でフィジカル面や試合勘をピークに持っていこうと考えている様子だが、できることならもう少し早いタイミングで戻ってきてほしいところ。
もちろん左ひざとの相談にはなるが、関川が万全の状態になれば、鬼木監督の安心感も一気に高まるだろう。その日がいつ訪れるのかが気になる。
そのうえで、関川には鬼木監督が求めるボールコントロール力やビルドアップ能力に磨きをかけてもらいたい。
もともと逆サイドのアタッカーへのロングフィード力には定評がある彼だが、細かいつなぎやボールの出し入れが得意なわけではない。
鬼木監督が長く指導していた川崎フロンターレには谷口彰悟や高井幸大といった技術と戦術眼を兼ね備えたハイレベルなCBがいた。
彼らはご存じの通り、日本代表入りし、海外へとステップアップしていったが、25歳の関川もまだその領域を目指せる年齢だ。
今回のケガで自身を客観視する時間を得たことは、彼にとって大きなプラス。辛く苦しかった経験を糧に、高みを追い求めていくことが肝要ではないか。
2026年はスケールアップした関川の一挙手一投足をぜひ見たいものである。
(取材・文:元川悦子)
【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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